Avid Media Composer|Software最新バージョン・その2:4K編集の実際


 前回は、Avid Meida Composer|Softwareの4K編集機能を支えるコーデック「DNxHR」を紹介した。このコーデックを使用すれば、4K撮影されたメディアの編集も、普段のHD編集とあまり変わらない軽快さで編集が行える。筆者もかなり驚かされた。

 さて、今回はさらに突っ込んで、Media Composer|Softwareによる4K編集の実際に迫って見よう。

 レビューに使用するマシーンは前回と同様、HP z820(Windows7/CPU:2.7GHz 2プロセッサー/メモリー:48Gバイト)と、MacBook Pro 15インチ Retina(OS10.10.1/CPU:2.6GHz/メモリー:16Gバイト)だ。

4K編集プロジェクトの作成

 以前のMedia Composerを使っていたエディターが、4K編集機能を備えた最新のMedia Composer|Software(以下、MC)で編集作業を行うとき、きっと面食らうのが新規編集プロジェクトの作成だろう(図1)

 なにしろ、4K対応のMCが編集できるプロジェクトフォーマットは、以前のMCに比べ大幅に増えているのだ。4Kともなると、これだけのフォーマットを相手にしなければならないのか…と驚くのは筆者だけではないだろう。

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図1 プロジェクト選択ダイアログと新規プロジェクト作成ダイアログ。赤枠で囲んだフォーマットプルダウンをクリックすると、MCの最終出力として選択可能なフォーマットが選択できる。今後4K時代には、常に完パケするシーケンスのフレームサイズ・FPSを意識して編集する必要がありそうだ


 図2〜5は、4K対応のMCで選択可能なプロジェクトフォーマットの一覧だ。プロジェクトフォーマットは、ピクセルサイズごとにカテゴライズされ、さらにそのフォーマットが取り得るフレームレートがリストアップされる。

 プロジェクトフォーマットの中にある、Ultra HD(UHD)とは、3840×2160ピクセル、すなわち現行フルハイビジョン放送の4倍サイズに相当する、テレビ放送系の4K規格だ。
 また4Kカテゴリにある、4K DCIとは4096×2160ピクセルサイズの規格で、4Kカメラや映画系の4K規格である。

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図2〜5 プロジェクトフォーマットは、フレームサイズごとまとめられている。フォーマットの選択は、まずフレームサイズを選び、そしてそのフレームサイズのサブメニューからフレームレートを選択する。Ultra HDはテレビ放送系4K規格、3840×2160ピクセル


 みなさんもご存知のとおり、4Kカメラの台頭により、収録カメラは一気にマルチフォーマット化が進んだ。その結果、現在、編集室にはピクセルサイズ・フレームレート、そして圧縮コーデックがバラバラな映像が持ち込まれるようになった。

 後述するように、MCはあらかじめプロジェクトの最終出力フォーマットを設定することにより、これらさまざまなフォーマットで収録された映像を、自動的にプロジェクトのピクセルサイズとフレームレートに変換して編集することができる。

AMAリンクによる素材のオープン

 4Kカメラで撮影されたファイルベースメディアは、AMAリンクによってMCの編集プロジェクトへ読み込むことができる。

 現在AMAリンクによってオープン可能なファイルベースメディアはQuickTime(ProRes)を初め、ソニーXAVC/XDCAM、キヤノンXF、パナソニックP2、REDなど随分充実してきた。
 AMAリンク機能はプラグインによって提供されている。各プラグインのダウンロードは、こちらからリンクを辿って行える。

 今回編集部から貸し出してもらった4K収録素材は、ソニーのPMW-F55、PXW-FS7、FDR-AX100で収録されたXAVCおよびXAVC Sメディア、そしてKi Pro Quadで収録されたProResメディアだ(図6)

 そのなかで表1のリストに上がっているものが、現在のAMAプラグインリリース状況で読み込めたメディアである(HD収録素材も含む)。

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図6 クリップ情報を確認するには、”Format”、”Video”、”Field Motion”、”Color Space”、”AMA Plug-in”などのコラムを表示すると便利だ

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 XAVC Sメディアについては現状、Drastic Technologiesが販売する有料プラグイン「Media Reacter」($495)を使用することで読み込みが可能となるようだ。今回は試すことができなかったので、確認はできていない。

 これら4Kネイティブフォーマットのクリップをソースモニターで再生してみると、収録フォーマットによっては映像は非常にカクついた再生しかできなかった(図7)
 全般的に見て、映像はリアルタイム再生しているとは言いがたく、編集作業を行うのはとても厳しい印象をもった。

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図7 現在のCPUパワーでは、AMAリンクでオープンしたクリップのリアルタイム再生はかなり困難だ。今後のバージョンでは、XAVCフォーマットにネイティブ対応する予定があるとのことだ

DNxHRメディアへのトランスコード

 4Kクリップの再生パフォーマンスは、DNxHRコーデックへのトランスコードによって大幅に改善する。
 さらに新しいMCのトランスコードには、おそらく多くのMCエディターが待ち望んでいた新機能が加えられた。それが、トランスコードオプションの “Raster Dimension” 設定だ(図8)

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図8 新しい機能が追加されたトランスコードダイアログ

 

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図9、10 Raster Dimensionsオプション(左)によって、クリップのオリジナルサイズを維持したまま、トランスコードできるようになった。トランスコードに使用するビデオ画質(右)。DNxHR SQはDNxHD145、DNxHR HQはDNxHD220に相当する


 このオプションは、クリップをトランスコードする際、クリップのピクセルサイズをプロジェクトのフォーマットサイズにリサイズするか、オリジナルサイズのままにするかを設定できる(図9、10)

 従来のMCでは、プロジェクトフォーマットを超えるフレームサイズをもつクリップは自動的にプロジェクトのフレームサイズにリサイズされてしまった。だが、このトランスコードオプションによって、オーバープロジェクトサイズのクリップがオリジナルサイズを保ったまま編集できるようになった。これはかなり画期的だ。

 オーバープロジェクトサイズのクリップのトリミングは、ビンウィンドウからコンテクストメニューで “Source Info(ソース情報)” コマンドを実し、”Flame Flex” によって変更できる。後述のとおり、シーケンスに編集したクリップもエフェクトライクにリサイズ可能だ。

 さて、クリップのトランスコードに要する時間は、使用マシーンで、実クリップ継続時間のおよそ2倍ほどかかった(図11)
 前回紹介したように、DNxHRコーデックの圧縮方法はDNxHDと同じだ。画質はDNxHR SQがDNxHD 145相当、DNxHR HQがDNxHD 220相当だ。

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図11 バックグラウンドでトランスコードを実行するには、トランスコードダイアログ下側にある、”バックグラウンドで実行” チェックをクリックする。今回のような定型的なトランスコード作業はバックグラウンド処理が便利だ


 トランスコードしたクリップをソースモニターにロードしてみると、再生パフォーマンスはオリジナルクリップに比べ明らかに向上していることがわかる。

 図12は、SATA-HDDにあるクリップを編集したシーケンスだ。タイムコードトラックにマークされた再生パフォーマンスを見ると、シーケンス途中まで充分なパフォーマンスが保たれていることがわかった。これなら、タイムラインの再生パフォーマンスをドラフトモードにしておけば、充分に編集が可能だといえる。

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図12、13 トランスコードしたクリップを、SATA、SSDにそれぞれ保存し、シーケンスの再生パフォーマンスを比較してみた(タイムラインの再生クォリティはドラフトクオリティ)。リアルタイム再生能力が低下する箇所はタイムコードトラックに赤いラインが描写される。SATA版シーケンスは、シーケンス半ばから再生パフォーマンスの低下が見られたが、SSD版シーケンスには殆どパフォーマンス低下は見られなかった

 メディアディスクによるパフォーマンスの違いを見るため、上のシーケンスをSSD-HD上のクリップに再リンクして再生パフォーマンスを計ってみた。図13から明らかなように、SSD-HDのタイムコードの再生パフォーマンスはシーケンス全編を通して良好であった。より快適な編集環境を構築するには、メディアディスクとしてSSD-HDをチョイスすると良いだろう。

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図14、15 今回テストに使用したSATA-HDDとSSD-HDのベンチマークテスト結果

 ところで、このサンプルシーケンスを構成するクリップは、ご覧のとおり、ピクセルサイズ、フレームレートがプロジェクトフォーマットと合わないクリップも含まれている。MCはこういった「フォーマット外」クリップを、再生中フレームレート&サイズ変換を行いながらリアルタイム再生することが可能だ(図16)

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図16 シーケンスには、フレームサイズ・フレームレートがプロジェクトフォーマットと一致しないクリップが多数含まれている。こういう場合シーケンスは、フレームのリサイズ・フレームレート変換を行いながらリアルタイム再生される

HDプロジェクトにおける4Kカメラ素材の利用

 DNxHRコーデックは下位互換性が保たれている。したがって、UHDなどオーバーHDプロジェクトでトランスコードしたDNxHRクリップは、すべてHDプロジェクトでオープン&編集することが可能だ。
 この性質を上手く使えば、4Kカメラ収録した素材を簡単にHDプロジェクトで利用することができる。

 フレームサイズがHDより大きいDNxHRクリップは、HDプロジェクト下でシーケンスに編集すると、”Flame Flex” 機能によってエフェクトライクにリサイズすることができるようになる(図17)

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図17 UHDプロジェクトでトランスコードしたクリップをHDプロジェクトで開き、 “Flame Flex” でトリミング設定を行ってみた。右側のモニターで “Flame Flex” のパラメータ設定を行い、左側のモニターでトリミング結果を確認する。左側モニターの映像がはっきりしないのは、カラーコレクションのかかっていないオリジナル映像が表示されているからだ。”Flame Flex” のパラメータ設定は、通常エフェクトと同じキーフレームグラフによって行う


 DNxHRクリップを選択してエフェクト編集モードに入ると、エフェクトエディタに “Flame Flex” が表示される。
 右側のエフェクトウィンドウに表示されるワイヤーフレーム枠が画像のトリミングエリアを表している。トリミング結果は、ソースモニター側に表示される。

 ”Flame Flex” は通常のエフェクトと同様にキーフレームグラフでアニメーション設定が行える。キーフレームアニメーションを上手く設定すれば、4K画像による高画質なズームインやパンがとても簡単に行えてしまう。

 いかがだろうか。「4K編集はまだ不要」と考えているエディターは、現状ではかなり多いと思う。だが、4Kカメラの普及によって、オーバーHDサイズ素材を使った編集が増えつつあるいま、MCが4K収録素材を簡単にハンドリングできるようになったことは朗報になりそうだ。

発売:2014年12月22日
価格http://www.avid.com/JP/products/Media-Composer#licensing
・Media Composer|Software サブスクリプション年単位:¥7万300(税別)〜
・Media Composer|Software 永続ライセンス:¥15万2000(税別)〜
・Media Composer|Software フローティングライセンス:販売代理店に問い合わせ

 Media Composer|Softwareの価格は、サブスクリプション(月契約/年契約)、永続ライセンス、フローティングライセンス(大規模施設向け複数パッケージ)の3種類が上記のように設定されている。
 永続ライセンスでは1年間のサポート契約が含まれており、1年間のサポートとソフトウェアアップグレードをが提供される(2年目以降のアップグレードおよびサポートは、別途¥3万(税別)にて購入)。
 サブスクリプションライセンスは、ライセンス有効期間の間、サポートおよびアップグレードが提供される。

URLhttp://www.avid.com/US/products/Media-Composer#features

Media Composer|Software 30日間トライアル ダウンロードURLhttp://apps.avid.com/media-composer-trial/JP/


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