Blackmagic URSA Mini 4.6K EF〜氷点下のカナダで撮影、Blackmagic Designが見据えるデジタルシネマの世界を体感 | ビデオ α

Blackmagic URSA Mini 4.6K EF〜氷点下のカナダで撮影、Blackmagic Designが見据えるデジタルシネマの世界を体感


 4Kで撮影できるカメラと聞いて、さほど驚く人も少なくなった。2008年にRED Digital Cinemaが事実上世界初の4KデジタルシネカメラRED ONEを発売したときは、そのスペックがあまりにも未来的過ぎて、4Kの意味すら理解ができない人が続出した。

 ところが、この数年であれよあれよという間にセンサーの大判化と解像度の進化が進み、いまではスマートフォンで4Kやハイスピードの撮影が行える素晴らしい時代となった。

 筆者自身、デジタルシネマの技術的革新の波はいろいろな常識を覆し続けていると感じる。コンテンツを制作する立場として、つぎつぎと確立される映像技術は、たくさんの創造を形にしてくれる力だと思う。

 Blackmagic Design(以下、BMD)という会社はそんな時代と共に急成長している。もちろん知らない人はいないとは思うが、われわれ制作者の立場で、常に製品を開発、開拓し、そしてリーズナブルな価格で商品をつぎつぎと市場に送り出すオーストラリアの会社だ。

 本稿で紹介するカメラは、そんなBlackmagic Designの思いがギッシリと詰まった1台であるといえる。URSA Miniシリーズの4.6Kバージョン、Blackmagic URSA Mini 4.6Kである。

4.6K/RAWが描くダイナミックレンジ15ストップの美しい世界

 EFマウントバージョンのBlackmagic URSA Mini 4.6Kをもってカナダに撮影に行った。大自然が広がるユーコン地区が撮影の場所だ。


 基本的に撮影はワンマンで、そのほとんどの撮影をEF24-105mm F4L IS USMの1本で行った。大自然にたたずむ動物を撮影したいという思い一心で、ショルダーバックにカメラとレンズを入れて雪が深く積もる自然保護地区に2日間入った。

 まず最初に記しておきたいことは、URSA Mini 4.6Kが捉える映像はハイライトの粘りがあって、とても美しいということだ。空気感といい、トーンといい、4.6Kの解像感や、なんとも言えないシネマの質感をもっている。

 高いダイナミックレンジが可能にするクォリティなのか、あるいはBMDのルックなのか、¥60万ほどで購入できるカメラとは思えないほどの完成度を感じた。
 いままでのBMDのカメラの技術を発展させ、彼らが求める理想のクォリティを形にした1台なのかもしれない。

 

ワンマンオペレーションでガンガン撮影できる1台

 正直軽いカメラではない。Miniという名前がついているが、ズッシリとした重厚なカメラだ。スペックによれば本体だけで2.27kgあり、バッテリーやレンズを含めると3kgは超える。

 ただ、このマグネシウムを採用した堅牢なデザインは随所でその力を発揮すると思う。氷点下の気温の中でワンマンオペレーションをするとなると、三脚の取り外しや運搬中、扱いもそれなりに雑になる場面が多かったが、もちろん一度も壊れることはなかった。
 むしろ雪の中10km以上の距離を、カメラを担ぎながら歩けたということは「機動力」のあるカメラといってもいいだろう。

4Kであってもしっかりとフォーカスを捉える仕組み

 ワンマンで撮影をしていて素晴らしいと感じたのは、カメラに搭載されている5型のフルHDモニターの使い勝手の良さだ。従来の4K撮影であれば外部モニターを使う必要が多い。
 それは単に「しっかりとモニタリングしたい」という目的があるからで、特に4Kの撮影になるとシビアなフォーカスに対応しなければならない。

 しかし、URSA Mini 4.6Kの5型モニターの性能はあまりにも良いため、外部モニターを付ける必要がまったくない。視認性が非常に高く、昼の雪景色という監視環境が悪くてもしっかりとカメラが捉える映像を確認することができた。


 EFレンズを使用する際のオートフォーカスの精度もなかなかなもので、実際の撮影でも有効に使えた。画面中央の被写体に対して、Focusボタン1つで正確なフォーカシングが可能だ。レンズをテレ端の開放F4であっても、どれもバッチリとフォーカスがきていたのはとても頼もしいと感じた。

 正直、雪の中にいるシロイワヤギ(Mountain Goat)という動物は毛も白く、フォーカスがきているかどうかはモニターのクォリティが高くてもそう簡単にピンを合わせるのは難しい。結局撮影のほとんどを、オートフォーカスで当たりをつけ、念のため微調整という流れで行った。結果ピントが外れているカットは1つもなかったというのは、このカメラのオートフォーカスがワンマンオペレーションの強い味方になるということを示している。


 実はカメラオプションとしてフルHDで確認のできる高解像度のビューファインダー(Blackmagic URSA Viewfinder)も用意されている。これを使えばさらに「確実」なフォーカスワークや露出の確認も可能だ。

 このビューファインダーは有機ELを搭載し、内蔵フォーカスチャートが搭載されていたり、数々のユーティリティも付属していて、その使用感に驚く人もいるだろう。


 今回のカナダの撮影でも使用を考えたのだが、あまりにもサイドの5型モニターがよくできているのと、重量を軽くしたいという目的で現地では使わなかった。もちろんショルダースタイルで撮影ができるURSA Mini 4.6Kはビューファインダーを装着することで最強のシステムとなる。

 実際にこのビューファインダーの評価は世界中でも高く、4Kの撮影でシビアな監視にも高い信頼性をもって対応できると思う。

圧縮RAWという賢い選択肢とCFast2.0

 URSA Mini 4.6Kの大きな特徴はRAWで撮影すると、名前のとおり4.6Kの解像度で60pの撮影が可能という点だ。4.6Kはピクセルにすると4608×2592の大きさで、4Kの最終納品をする際にかなり有利な画角調整やスケール調整を行える。

 しかも今回のBMD FILMのLOGガンマはダイナミクスレンジが15ストップと広い。実際驚いたのは、普通のカメラだと一気に飛んでしまうハイライトにあたる雪景色の微妙なグラデーションの表現がしっかりとされていたということだ。ポストで色編集をしている際に「すごいなー」と思わず口にしてしまった。

 さらにRAWの撮影で圧縮RAWが使用できるので、ビットレートを下げてRAWを収録できる。これはRED Digital Cinemaのカメラと同じ感覚だ。

 RAWは従来のBMDと同様にCinemaDNG RAWで設定が可能で、30pのフレームレートだと非圧縮で513Mバイト/sで撮影ができる一方で、CinemaDNG RAW 3:1と4:1の2種類の圧縮RAWを選択できる。3:1の場合はおおよそ1/3の圧縮で180Mバイト/s、4:1だとおおよそ1/4の135Mバイト/sのRAW収録となる。

 4:1でも1Gpbsを超えるビットレートなので、よっぽどの高画質収録を狙わない限り4:1の圧縮を使用するのがリーズナブルかもしれない。しかも今回は60pによる撮影を行ったので、4:1の圧縮であっても2Gbpsを超えるビットレートとなった。

 ちなみに収録メディアはCFast2.0。各所でも話題になっているがSandiskのCFast2.0カードはいまのところURSA Miniの推奨メディアとして対象外なので要注意だ。

 なかなか対応するCFast2.0のカードを日本で入手するのが難しいのだが、今回はLEXARのCFast2.0を選んだ。LEXARのサイトでもURSA Miniとの相性を保障しているため、3600Xの256Gバイトを2枚購入。RAW収録で使用し問題はまったくなった(http://www.lexar.com/cardcompatibility)。
 256GバイトでRAW4:1の4.6Kを60pで約13分収録できる。30分の素材で500Gバイトを超えるあたりがRAWらしいといえばRAWらしいのだが、撮影できた画をみてその美しさに心底驚いた。

充分すぎるスペック

 気になるISOだが、最高でISO1600までの設定が可能だ。最近は驚くほど高感度のカメラがたくさん発売されており、1600という数値にあまり評価をしない人も多いかもしれない。しかしISO1600で撮影した素材もかなりあったが、ノイズの気になるカットは少なかった。

 ちなみにRAW以外の収録コーデックは、執筆時点の最新ファームウェアでProRes 444 HQを含む6種類のProResファミリーを選ぶことが可能だ。この際の4KはUHD(3840×2160)になってしまうものの、使用するセンサーをFullにするか、クロップするかを選ぶことがきる。相変わらずシンプルで使いやいすいメニューユーザーインターフェースのため、設定で迷うことはあまりないと思う。


 詳しいスペックはサイト(https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/blackmagicursamini/techspecs)で確認していだければと思うが、通常のHD出力や音声のキャノン入力、内蔵ステレオマイク、リファレンス入力などに加えて、4K60pの出力を1本のSDIで行える12G-SDIの出力を兼ねたアウトプットがあったり、SDIのINもあったり、その種類は充分すぎるほどだ。

 CM撮影やスタジオカメラ、ドキュメンタリーといった多岐に渡る撮影のシチュエーションであらゆるシステム設計を可能にする1台である。

DaVinci Resolve Studioを使いワークフローを完結

 今回使用した編集ワークフローを紹介しておく。まず、圧縮RAWに関しては同社のDaVinci Resolveを使って現像した。
 ちなみにカメラを購入するとDaVinci Resolve 12 Studioのドングルキーが同梱されているため、すぐに¥12万もする有償版の使用が可能だ。


 ここではDaVinciの使用方法は割愛するが、今回はLOGガンマのまま一度RGBの動画ファイルであるDNxHR444で4.6KのままDaVinciで現像し、その動画ファイルをAdobe CCのPremiere Proのプラットフォームに流し込む形で編集を進めた。

 最近のDaVinciはカラーグレーディングの機能に加えて、編集ソフトウェアとしての「統合NLE」という位置づけに進化している。そのためRAWであってもそのまま編集タイムラインをつくり、4Kの完パケを行えるのだが、個人的にPremiere ProとAfter Effectsを使ったワークフローに慣れ親しんでいるためこのような中間コーデックを使うフローを選んだ。

 また色編集もPremirere ProのLumetriを使いカラーグレーディングを行った。フォローするようで恐縮だが、本来DaVinci Resovleのカラーグレーディングは最強ともいえるだろうし、BMDのツールですべてが完結できるようになっていることを追記しておきたい。


 今回のグレーディングでは3DLUTをあてず、2次元のカラーグレーディングで色編集を進めた。あまりコントラストをつけると、せっかく捉えた雪の質感が失われてしまうために、ハイライトの部分のコントラストを少し丁寧に編集。また雪景色の空気感を出すために少し青の光を意識し、強めの彩度を加えた。

 このあたりは賛否があるかとは思うが、いい形でグレーディングが進められたと思う。


 最終的な仕上げはUHDの23.976pのタイムラインを使用し、60pの素材を2.5倍のハイスピード表現で制作を進めた。ゆっくりとした動物たちの動きが個人的にも印象的だと思う。

 余談ではあるが、ユーコンの小説で一躍有名になったアメリカ人の小説家であるジャック・ロンドンの小説「Call of the Wild」からナレーションを引用し作品を仕上げた。ユーコンの大自然を少しでも感じてもらえれば幸いである。

価格
・Blackmagic URSA Mini 4.6K EF;¥60万9800(税別)
・Blackmagic URSA Viewfinder;¥18万2800(税別)
・Blackmagic URSA Mini Shoulder Kit;¥4万8980(税別)
・URSA VLock Battery Plate;¥1万1980(税別)
発売:Blackmagic URSA Mini 4.6K EF;2016年3月17日
URLhttps://www.blackmagicdesign.com/jp/


About 江夏由洋

株式会社 マリモレコーズ 所属

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