オタク 手塚一佳の自腹レポート〜EOS-1D Cを小規模撮影で使いこなす ・第1回


 反面、こうした優れた特徴のトレードオフとして、センサーサイズの違いから他のシネマカメラとは画角が異なり、どうしても広角寄りになってしまうという特徴がある。特にセンサーサイズが映画定番のS35でないのは気になる人も多いだろう。シネレンズの多くがS35サイズでつくられているため、EOS-1D Cによる撮影では、センサーサイズの都合で自然、スチルレンズ多用になってしまうのはいたしかたない。

 もちろんスチルレンズは光学的には映像撮影に使っても問題がないが、動画利用を考慮していないためにシネレンズと比べてフォーカスがシビアであり、また、マットボックスやギア類装着を考慮されていないという特徴がある。

 また、これはEOS-1D Cだけではなく大画素高画質4Kカメラ全般の特徴なのだが、フォーカスと手ぶれの影響が極めてシビアであるという点が挙げられる。フォーカスのシビアさはSDからHDの移行の際も問題となったが、4K映像はいわゆる写真画質の動画であり、極めて没入感が強いため、フォーカスのハズレによる違和感はHD移行時の比ではない。EOS-1D CはEOS-1D Xと同じ優れたバックモニターを搭載しているがこれはあくまでもスチル撮影用のものであり4Kのフォーカスを取るには心許ない。

 また、こうした小規模撮影では同録が必須であることが多いが、一眼レフカメラ筐体というスタイル上XLRバランス端子入力を装備していない。同様に、NDフィルターやその他一眼レフカメラ筐体だからこそ入っていない機能も多い。

 EOS-1D Cは、ベース機がフルサイズセンサーハイエンド機にあたるEOS-1D Xであるため、スチルカメラとしても非常に高性能だ。商業映像だけではなくスチル写真においても商業撮影にまで耐え得る高い性能を誇っている。

 では、EOS-1D CがEOS-1D Xの上位機種かというとそうではなく、実際にはEOS-1D Xからフラッシュ接続端子とメモリーバッファを削ってその代わりに4K回路を搭載しており、同系統の筐体外装を使った別機種と考えるべきだろう。実際EOS-1D Cは、EOS-1D Xよりもバッファを利用した高速連写枚数が少なくなっていて、たとえばRAW撮影時の連写枚数はEOS-1D Xが最大38枚なのに対しEOS-1D Cは最大29枚と減っている。

 とはいえ、29枚という高速連写枚数はプロ用一眼レフカメラの中でも多い、充分に実用に耐える枚数ではあるといえる。

EOS-1DCの少人数撮影を支える筆者の必須機材たち

 さて、こうした特徴をもつカメラであるため、筆者はEOS-1D Cの運用において、細々と機材的な工夫を行っている。

■CFカードは Lexer Professional 1000x CFカードを採用
 まず、膨大で高速なEOS-1D Cの収録データに関しては、Lexer製のx1000 CFカードを用いている。他社製の800Mbpsクラスのカードは安く手に入るのだが、それらのカードでは速度的にギリギリで、低温時や高温時にフレーム落ちが出ることがある。

 EOS-1D CはCFカードの収録が間に合わないときには内部バッファに映像を貯める仕組みなのだが、そうした速度的に足りないメモリーを使うと内部バッファの残り量を示すメモリーが現れて、大変に焦る。また、内部バッファの残り量は4Gバイトごとのファイル分割時にはドンと溜まる傾向がある。そのため、確実に速度を保てる100MB/s以上のCFカードが望ましい。

 この点、LexerのProfessional 1000x CFカードであれば、十分な性能を持っているため書き込み速度に影響の出やすい低温時や高温時でもトラブルが起きない。また、データ復元ソフトのライセンスも付属しているため、万が一のトラブルでもある程度は安心できる。


手塚 一佳

About 手塚 一佳

 1973年3月生まれ。クリエイター集団アイラ・ラボラトリ代表取締役社長。東京農業大学農学部卒、日本大学大学院中退、小沢一郎政治塾8期卒、RYAショアベースヨットマスター、MENSA会員。学生時代からシナリオライター兼CG作家としてゲームやアニメ等でアルバイトを始め、1999年2月に仲間と共に法人化。アニメは育ってきたスタッフに任せ、企画・シナリオの他、映画エフェクトや合成などを主な業務としている。副業で鍛冶作刀修行中!

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