日本テレビの技術展示会「デジテク 2015」開催

　日本テレビの技術展示会「デジテク 2015」が、 3月10日、11日の2日間、汐留日本テレビタワー2Fの日テレホールで開催され、4Kやハイブリッドキャストなど、日本テレビの取り組む新サービス、放送技術が幅広く展示された。

　4K関連の展示では、現在製品化されている4K制作機器を利用した簡易な4Kスタジオを会場内に構築したほか、日本テレビグループの4K番組制作への取り組みや、4K→2K切り出しによる回転効果・ブレ補正装置も紹介された。

　4Kスタジオでは、メーカーやセンサーサイズの異なる7台の4Kカメラを設置して、そのスイッチング映像を98型ディスプレーに表示。センサーサイズの違いによる被写界深度の差、スーパースローや小型カメラによる演出表現などを体感できる展示となっていた。

会場に構築されていた4Kスタジオには、ソニーのF65とPMW-F55、パナソニックのVARICAM 35とAG-GH4U、朋栄FT-ONE-OPT、GrassValleyのLDX 4K、JVCケンウッドのGW-SP100の計7機種を設置

4Kスタジオの7台のカメラとリプレーサーバーを4Kスイッチャーでスイッチングし、98型ディスプレーに表示

　日本テレビでは、今後、麹町新スタジオなどの4K制作設備検討も予定しているという。

　4K番組制作への取り組みとしては、日本テレビグループが制作した「Channel 4K」で放送中の4Kコンテンツが上映された。

　グループ会社の展示ブースでは、日テレ・テクニカル・リソーシズが、「ウェアラブルカメラによる新しい映像提案」として、共同開発した超小型インターレスカメラと開発協力した5GHz帯HD無線伝送装置を使った新しい中継方法を紹介。

日テレ・テクニカル・リソーシズは「ウェアラブルカメラによる新しい映像」を提案

超小型インターレースカメラ（おいぬビジョン）。￥500硬貨ほどの大きさで質量も50g以下。HD-SDI出力を装備している

5GHz帯HD無線伝送装置（ランサーリンク）。最大350mの伝送が可能。特別な免許は不要で、屋内外で使用できる

　小型で低遅延という特長を活かし、審判目線のレフリーカメラとして、秩父宮競技場で行われたラグビー日本代表戦での使用実績があり、映像も披露された。

審判目線のレフリーカメラとして、ラグビー日本代表戦で使用された実績もある

　また、会場内コンパニオンの花型アクセサリーにカメラを仕込み、展示ブースまで映像を送信するデモも行われていた。

花型アクセサリーに仕込まれた超小型インターレースカメラ。映像は展示ブースに送信されていた

　また、日テレ アックスオンのブースでは、｢6K＆4Kカメラを使用した全天周映像制作｣として、今年2月より制作中の6Kカメラおよび水中4Kカメラを使用した全天周ドーム映像（ロケ地：パラオ共和国）が紹介された。

日テレ アックスオンは｢6K＆4Kカメラを使用した全天周映像｣を展示

　同映像は、三重県の岡三証券グループ津ビル内ドームシアター｢神楽洞夢｣にて、本年4月下旬より上映が予定されているコンテンツ用に撮影されたものである。マルチカメラではなく、魚眼レンズを装着した1台のカメラで全天周映像が撮影されている。

6Kカメラとして使用されたのはRED EPIC DRAGON

水中4Kカメラには、Blackmagic Production Camera 4Kが使用された

　昨年の「デジテク 2014」では、キヤノンEOS-1DCを使用して制作していたが、1年で全天周ドーム映像用コン テンツの高精細化が進んでいた。

昨年「デジテク2014」での4Kドームシアター用全天周映像