イメージスタジオ109に聞く〜Windows環境におけるThunderbolt 2対応ストレージの活用
近年、4Kを始めとした高解像度の映像制作に注目が集まるなか、その膨大なデータを快適に運用していくために必須となるストレージやインターフェースへの関心も必然的に高まっている。なかでも毎秒20Gbpsもの速度を実現しているThunderbolt 2は、ケーブル1本での接続といった取り回しの容易さも相まって、今後もストレージインタフェースの一翼を担っていく注目株の1つだといえる。
Thunderbolt 2といえばAppleのMacといったイメージが強いが、東京・目黒にあるイメージスタジオ109ポストプロダクション事業部において、WindowsベースのシステムでThunderbolt 2インターフェース対応ストレージシステムPROMISE Technology Pegasus2を活用しているとの話を耳にした。
同スタジオは、株式会社イメージスタジオ・イチマルキュウが運営するスタジオで、160坪の面積をもつM1スタジオを始めとした5つの白ホリゾントスタジオ、6つのオンライン編集室、2つのオフライン編集室に1つのカラーグレーディングルームと、都内屈指の規模をもち、主にCM制作の現場から多くの支持を得ているスタジオである。
今回、同社のポストプロダクション事業部 次長 平山 雅浩 氏、ポストプロダクション事業部 業務課長 青木 祐輔 氏、ポストプロダクション事業部 業務課 プリント担当リーダー 高橋 和泉 氏、ポストプロダクション事業部 業務課 プリント担当 東峰 雅人氏の4名の方に、Windows環境におけるThunderbolt 2対応ストレージをどのように活用されているか、お話を伺った。
・まず御社の業務概要についてお伺いできますか?
平山氏:主にCM制作などを中心に利用いただいているスタジオです。160坪の面積をもったM1スタジオを含めた5つのスタジオ、6つの編集室に2つのオフライン編集室などを基本的な施設としています。また、特機などのレンタル業務も行っているほか、完成した完パケから各種用途に応じたフォーマットへのエンコード作業なども行っています。今回ご紹介するシステムはこのエンコード作業で使用しています。
・そのエンコード作業というのは、どういった用途のものなのでしょうか?
青木氏:近年、制作したテレビCMなどを、Webを始めとしたさまざまな用途にも利用したいというお客様の要望が多くなっています。私どもの部署では、そういったご要望に応えるべく、元となる完パケ素材を、Web CMや街頭のデジタルサイネージ、店頭で流すデモムービーなど、お客様の用途に合わせたフォーマットにエンコードして提供させていただいております。
・エンコード作業の工程をお伺いできますか?
東峰氏:仕上がった完パケ、主にHDCAM SRが多いのですが、その完パケからお客様の用途によってフォーマットはさまざまですが、基本的には非圧縮でシステムに取り込みます。その非圧縮映像をPremiere Proなどを始めとした編集ソフトを用いてお客様のオーダーに応じた形に仕上げ、最終的にQuickTimeやWindows Media、Flashなどにエンコードします。
・エンコード需要の高いファイルフォーマットというのはございますか?
青木氏:先ほど申し上げましたように、現在CMの形態は非常に多岐に渡っています。それに応じて求められるフォーマットも、Web関連フォーマットの多様性はもとより、デジタルサイネージなどでも縦型か横型かでも異なってきますし、店頭用のDVDなどもあります。一概にどれが多いとはいえない状況ですね。
・Thunderbolt 2といえばAppleのMacといったイメージが強いのですが、今回はなぜWindowsベースのシステムでThunderbolt 2対応のストレージを運用されているのですか?
高橋氏:もともとWindows MediaやFlash、またデジタルサイネージ系もそうなのですが、Windowsのほうが得意とされているフォーマットの発注が多い傾向にあり、今回新たにシステムを組むにあたり、Windowsベースというのが前提でした。
東峰氏:今回のシステムでは、メインとなる筐体にHP(ヒューレット・パッカード)のZ820というモデルを採用しています。このZ820を発注する際、オプションでThunderbolt 2の入出力にも対応できることを知りました。日々の業務のなかで、お客様が素材を外付けHDDなどで持ち込むケースもあり、今後そういったHDDもThunderbolt 2対応のものが増えるのではないかと考え、当初はそれらにも対応することを目的にThunderbolt 2オプションを組み込みました。ちょうどそのころ、別部署でPROMISE TechnologyさんのThunderbolt 2対応ストレージを入れるという話を聞き、こちらのWindowsベースのシステムでも使用できるのかなと、さまざまな検証したところ、問題なく運用できそうでしたので、今回2Tバイト×6で合計12Tバイトの容量をもつPegasus2 R6を導入しました。
平山氏:Pegasus2のコストパフォーマンスも魅力でしたね。価格は安いのに、性能はしっかりと出ます(笑)。
・実際に運用されていかがですか?
東峰氏:やはり、読み書きの速度はかなり速いですね。お客様からお預かりしたHDDから素材をコピーする際も、SASのストレージを使用していた従来のシステムでは、その間ちょっと一休みといった感じだったのですが、新しいシステムではあっという間にコピーが終わってしまうので休めません(笑)。また従来システムと比較し、PC本体のスペックも上がっているため、エンコード処理自体も高速化されているので、作業全体としても処理時間の短縮化が図られたとおもいます。
高橋氏:あくまで体感ですけれども、従来の2/3ぐらいの時間で処理が行えているように思います。
東峰氏:ケーブル1本で接続できてしまうというのも大きな魅力ですね。取り回し的に楽なのももちろんなのですが、従来だとRAIDカードやらなにやらと、なんだかんだでコストがかさんでしまう。今回導入したHPのマシーンでは、それが2〜3万円のThunderbolt 2オプションカードだけで済んでしまう。
平山氏:PROMISE TechnologyさんのRAID管理画面もわかりやすくていいですね。ぱっと見で大体理解できる。
東峰氏:そうですね。本当に感覚的に操作ができますし、温度や電圧など現在の動作状況の確認も簡単に行えるので助かります。
・納品後のデータの管理はどうされていますか?
東峰氏:ある程度期間を決めて、古いものから削除しています。
高橋氏:万が一なにかあっても、オリジナルはテープで保存されているので安心です(笑)。
・導入後、困られたことはございますか?
高橋氏:いまのところ、大きなトラブルというのはありませんね。
東峰氏:Windowsなのでドライバー関連で、ひっかかる部分があるかなと思っていたのですが、そういったトラブルもいまのところぜんぜんありません。
・ちなみに月単位でどのくらいのタイトルを処理されているのでしょうか?
青木氏:1つの素材から複数のCMコンテンツを制作している分もカウントすると、おおよそ150タイトルぐらいでしょうか。その作業の中心はもちろん各種エンコード作業なのですが、お客さまの要望に応じてPremiere Proなどで編集作業も含まれますし、店頭DVD用のオーサリング作業なども含まれます。
・今後、システム関連の展開としてお考えになられていることはございますか?
東峰氏:今後なにが必要になってくるかにも関わってくると思います。扱うデータの容量がますます大きくなるようでしたらストレージの容量もそれに併せる必要があると思います。また、納品形態に関しても今後どうなるのか、いまいろいろと探っているところで、その結果に併せてThunderbolt 2の速度をうまく活かしたシステム構築など行えればと考えています。
・本日はありがとうございました。
Pegasus2問い合わせ先:PROMISEテクノロジー 株式会社TEL 03-6801-8064 URL:http://jp.promise.com