SLR Magic マイクロフォーサーズマウント CINE LENSシリーズ | ビデオ α

SLR Magic マイクロフォーサーズマウント CINE LENSシリーズ


 香港のレンズメーカー「SLR Magic」のシネ用レンズは、動画撮影のために設計されたフルマニュアルのレンズである(写真1)。ラインナップの多くはマイクロフォーサーズマウントを採用している。コンパクトなサイズでありながら、開放絞り値が明るく、しかも理論値ではない実効値のT表示、そして絞りとフォーカスのリングには、シネ用でおなじみのモジュール0.8のギアを備え、操作感にはしっかりした粘りがある。

 マイクロフォーサーズマウントのレンズでは、国産品であればパナソニックかオリンパスのものが主流で、電子制御であるこれらのレンズはBlackmagic Cinema Camera(以下、BMCC)ではまったく使用できない。もともと、オートフォーカス、オート露出が前提の民生用デジタル一眼カメラ用なのだから、仕方のないことである。ただし、Blackmagic Pocket Cinema Cameraは、マウントに電子接点があるので使用できる。

 マイクロフォーサーズマウントのBMCCユーザーが求めるフルマニュアルレンズとなると、コシナ・フォクトレンダーのNOKTONシリーズくらいしか、選択肢はなかった。このSLR Magicのレンズは、シネ用レンズの特長をほぼすべて備えていながら、価格が手頃なのも魅力的である。

 作例の静止画は、BMCCで撮影された2.5K解像度のCinema DNG RAW形式の動画データ(連番の.dngファイル)を静止画に書き出したものである。カラーグレーディングは行っていない。

35mm T1.4 Cine Mark II Lens

 35mm T1.4 Cine Mark II Lens(写真2、3)は、一般的なマイクロフォーサーズカメラで70mm相当、BMCCでは84㎜相当(35㎜判フルサイズ換算)の画角である。開放絞りでも、絞っても、円形絞りによるボケ足が美しい。絞っても開放でも、良好な像を結んでくれる(写真4)

 

 夜間撮影では、光源がレンズ内で乱反射することによるゴーストが出やすい傾向がある(写真5)。撮影画角の外の光源では、開放から一絞りでも絞れば、出にくくなるようである。製品に同梱される説明書には、ゴースト、フレアーなどの乱反射を防ぐためにはT2.8まで絞るように、との記述があるので、メーカーでもある程度のゴースト、フレアーが出ることは認識しているようである。

 

 レンズプロテクターの類いのフィルターも、乱反射によるゴーストが出やすい。夜間撮影では、なくても差し支えのないフィルターは外しておいたほうがいい。

25mm T0.95 Hyperprime Cine Lens

 25mm T0.95 Cine Lens(写真6、7)は、シリーズの中でも「Hyperprime」と銘打った、T0.95という明るさが特長のハイスピードレンズである。フルサイズより小さいセンサー専用に設計したことで実現した明るさなのだろう。

 T0.95の開放で撮れば、全体に軟調にはなるが、フォーカスが合う部分にはしっかり結像している。とろけるようなボケは、このクラスのレンズの大きな特長である(写真8〜10)。直接の比較はしていないが、フォクトレンダーのNOKTON 25mm F0.95よりも画調は硬い印象を受けた。

 

 そしてこちらも、光源のゴーストが出やすい(写真11)。そしてこれもまた、T2.0より絞ることで収まる、との説明書きがある。

 

17mm T1.6 Cine Lens

 17mm T1.6 Cine Lens(写真12、13)は、BMCCでは40mm相当という、使いやすい標準画角となる。やはりゴーストは出やすい。これも説明書にT2.0まで絞ることで収まる、との説明書きがある(写真14、15)

 

12mm T1.6 Hyperprime Cine Lens

  12mm T1.6 Cine Lens(写真16、17)も「Hyperprime」レンズである。一般的なマイクロフォーサーズボディで24mm相当、BMCCでは28mm相当の広角となる。特にパナソニック、オリンパスのAFレンズが使えないBMCCでは、開放T1.6の明るい広角レンズは重宝する。フィルターサイズが58mmなので、ほかのレンズとのフィルターの共有には一考する必要がある。

 例によって独特のゴーストが出やすく、T2.0より絞れば軽減する(写真18、19)。BMCCならばRAWで記録できるので、仕上げ時の調整幅は大きい。

アナモルフィック アダプター

 同社からはアナモルフィック アダプターも発売されている(写真20、21)。光学的に横方向を縮小撮影し、上映時に横方向を1.33倍に伸ばすことで、16:9のアスペクト比を1:2.35のスコープサイズにすることができる。

 17mmに装着してみたのだが、φ52mm→62mmのステップアップリングとNDフィルターを併用したためにケラレが生じてしまった(写真22)。参考までに、12mmとの比較画像も載せておく(写真23)。12mmのほうが画角は広いが、アナモルフィックで撮影するほうが、縦方向の解像度を失わない分、画質は良いものと思われる。

 4本のレンズはそれぞれ異なる設計で、35mm T1.4だけはアイリスリングが前方にあり、フィルターサイズも49〜58mmまで、アナモルフィック アダプターは取り付け側が62mmとさまざまだ。欲を言えばこのあたりにもう少し統一感が欲しいところである。

 開放域で特にゴースト、フレアーが出やすいレンズではあるが、マットボックスや人力のハレ切りなどで対処する、あるいはある程度絞って撮影し、ポスプロで調整するなどしてもいい。

 この光学性能をどう活かすか、作品によって判断が難しい。せっかくの明るさを犠牲にするのはもったいない気もしてしまう。世界中の映画作品を見回せば、これくらいのゴースト、フレアーは珍しくはない。

 生真面目な技術スタッフなら余分な “ノイズ” は極力排除したいのだろうが、これらをすべて排除したクリアーすぎる映像も、なんだか物足りなさを感じてしまうものである。ゴーストやフレアーを活かした画面づくりにこうしたレンズが活用できれば良いのでは、とも思える(写真24)

 

価格
・35mm T1.4 Cine Mark II Lens;¥5万8504(税込)
・25mm T0.95 Hyperprime Cine Lens;¥7万1894(税込)
・17mm T1.6 Cine Lens;¥5万8504(税込)
・12mm T1.6 Hyperprime Cine Lens;¥6万9834(税込)
・アナモルフィック アダプター;¥12万8750(税込)
発売:2014年1月28日(アナモルフィック アダプターのみ2014年5月1日)
URLhttp://digitalhobby.biz


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