キヤノンRC-V100〜収録現場の幅を広げるリモートコントローラー


 2011年の発表以来、発展を続けるキヤノンのCINEMA EOS SYSTEM。すでに多くの現場で活用され、シネマカメラならではの制作ができるとあって、愛用されている方も多いのではないだろうか。

 そうしたCINEMA EOS SYSTEMのカメラシリーズ(C500/C500PL/C300/C300PL/C100/C100 Mark II)、および業務用のデジタルビデオカメラ(XF305/XF205)に利用可能なリモートコントローラーがRC-V100だ(写真1)

RC-V100

写真1 リモートコントローラーRC-V100。5mの接続ケーブルが同梱される。¥29万8000(税別)


 結論からいえば、上記に挙げたようなカメラの使用する制作現場からの要望に応えるために開発されたということもあり、同種の機器としては充分な機能を有し、従来どおりのVEスタイルの構築が可能なだけでなく、CINEMA EOS SYSTEMの核心ともいえるCanonLogの撮影には非常に有用な製品だ。

 今回はこのRC-V100を、XF205と組み合わせた形態で試用してみた(写真2)

RC-V100

写真2 今回はXF205と組み合わせて試用したが、XF305やCINEMA EOS SYSTEMのカメラシリーズにも対応している

撮影の自由度と効率性を向上させる各種機能

 写真3のようにモニターと併用することでVEスペースなどの構築が可能だ。この辺りは、すでにある他社のシステムとなんら変わることはない。RC-V100を利用することによって、キヤノン製のシステムでもこうした環境が構築できる。

RC-V100

写真3 。狭小空間やクレーンなどに設置されたカメラを手元で操作でき、モニターと併用することでVEスペースなどの構築が可能

 特にワイドダイナミックレンジのCanonLogなどでの撮影では、波形モニターを利用した露出決めは非常に重要になってくる。ビューファインダー上での露出決定が困難な場合が多いため、マスターモニターとRC-V100を活用した現場構築は重要になってくるだろう。いままではカメラ本体を操作して行っていたこのような作業が、RC-V100を活用することによって、自由度と効率性が向上することが大いに期待される。

 さて、RC-V100の実際の操作感だが、本機のボタン・ダイヤルのレイアウトは非常にオーソドックスであるといえ、同種の機材であるソニー製RM-B150などのリモートコントローラーにやや類似した構成となっている。そのため、こうした機種に慣れている人間であれば違和感なく使用することができるだろう(写真4)

RC-V100

写真4 RC-V100のボタン・ダイヤルのレイアウト。使用頻度が高い画質調整機能を、ダイレクトに調整することが可能

 また、カメラ本体にあるアサインボタンの操作も可能だ。ビューアシストやAFロックなどの機能を割り当てている場合でも柔軟に対応が可能だ。

 カメラとの接続は、リモコン側が3.5mmステレオミニプラグ、カメラ側が2.5mmステレオミニプラグでLANC端子への接続となる(写真5、6)。また、接続するだけではなくカメラ側で設定をRC-V100用に設定を変更する必要がある。

 XF205やEOS C100 Mark IIのように発売開始当初からRC-V100に対応している機種以外は、使用する場合に、あらかじめカメラ側のファームウェアのアップデートが必要であるため、注意されたい(写真7)

RC-V100

写真5、6 カメラとの接続は、リモコン側が直径3.5mmステレオミニプラグ、カメラ側が直径2.5mmステレオミニプラグでのLANC端子への接続となる

RC-V100

写真7 RC-V100のコントロールを有効とするためには、カメラ側のREMOTE端子設定を変更する必要がある。機種によってはファームウェアアップデートも必要

 同梱のケーブルは、長さが5mとやや短い(写真8)。このため、現場での展開を考慮するとケーブルの延長なども考慮する必要がある。幸い、市販のLANC延長ケーブルなどを活用できるため、現場に応じて柔軟に対応することが可能だ。

RC-V100

写真8 同梱されている5mの接続ケーブル。現場によってはケーブルの延長なども考慮する必要がある

 そのほか、本機はボタン/ランプの明るさや操作音、各種ダイヤルの回転方向や制御方式などをカスタマイズすることが可能だ。RC-V100は底面のカバー内側にディップスイッチが備え付けられており、ここから各ボタン・ダイヤルなどの設定を変更することができる(写真9)。ダイヤルの回転方向・感度・制御モードやボタンランプ、操作音などの設定を変更することができるので、状況に応じて利用していきたい。

RC-V100

写真9 底面のカバー内側にディップスイッチを備え、各ボタン・ダイヤルなどの設定を変更することができる

従来どおりのVEスタイルも、Log撮影にも効果を発揮

 今回、RC-V100とともにお借りしたXF205は、その取り回しの良さから、どちらかといえばディレクターカメラ的な性格が強いカメラであるが、今回は本レビュー執筆のため、舞台収録用途にこの組み合わせを使用した(写真10)

 XF205をほぼ中央固定カメラとして使い、筆者は別のカメラの操作などをするかたわら、RC-V100でXF205の調整なども行った。

RC-V100

写真10 RC-V100の活用で現場の自由度と効率性のアップが図れるだろう

 XF205はCFカードのスロットを2基、SDメモリーカードのスロットを1基備えており、同時記録や独立制御が可能となっている。今回は、SDメモリーカード収録のRECスタート/ストップをアサインボタンに振り分けることで、CFカード記録とは別にREC操作する、などといったことも試すことができた。

 とはいえ、このRC-V100は、やはり前述のとおりCINEMA EOS SYSTEMにおけるLog撮影などに活用してこそ真価を発揮するだろう。これらの機材のユーザーにとって、RC-V100は現場での選択肢を広げることができるアイテムではないだろうか。

電源:接続ケーブルを通じてカメラ本体から供給
外形寸法:幅約89×高さ224×奥行64mm
質量:約630g
価格:¥29万8000(税別)
発売:2014年6月13日
問い合わせ先:キヤノンお客様相談センター TEL 050-555-90004
URLhttp://cweb.canon.jp/prodv/


About 金森宏仁

株式会社 ユー・ブイ・エヌ所属。テクニカルディレクター

同カテゴリーの最新記事