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DSマスターへの険しい道のり~MCエディターS原の苦悩と歓喜

最終回 卒業試験!! 問題3:マスクを作成する

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本ブログは、リストラの危機を目前にしたMC系ノンリニア(しか使えない)中年オジエディターが、一念発起、四苦八苦・七転八倒しながらも、一発逆転を夢見ながらAvid DS使い(DSマスター?)への棘(いばら)の道を彷徨い続ける物語である...

とうとう卒業試験も最後の問題となりました...険しかった道のりも残りわずか、ゴールはすぐそこです...

(編集部:A部)

某月某日 問題3

問題3:マスクを作成する
  • テクニック1:Keyerで色を指定し、マスクを調整
  • テクニック2:Wipeエフェクトを複数組み合わせて、マスクを調整
  • テクニック3:Maskエフェクトでマスク範囲を描き、マスクを作成
  • テクニック4:Graphicエフェクトでマスク範囲を描き、マスクを作成

いよいよ、最後の問題です。実は問題2の解答にすっかり手間取っておりました...。解答時間がすっかりなくなってきて、少しアセってます。実はDSの貸し出し終了期限があとわずかに迫ってきているのです...。

答案
  • テクニック1:Keyerで色を指定し、マスクを調整

このテクニックは、ちょっと前のブログでかなり詳しくやりました。だから自信があります。

まず、スタートシーケンスを作成します。これはタイムライントラックV1に背景映像、 V2にグリーンバック映像を編集したものです。


スタートシーケンス V1トラックに背景、V2トラックにグリーンバック映像を編集したスタートシーケンスを用意します

グリーンバック映像はこんな映像です。

それでは、このグリーンバック映像にキーイングエフェクトをかけます。エフェクトはクリップエフェクトとして適用しましょう。

以前のブログでは"BlueGreenKeyer"プリセットを使いました。エフェクトプリセット内をさらっていたら、"Chromakey"プリセットがありました。前と同じエフェクトプリセットだとまったく『芸』がないので、今回はこれを使って見ます(実のところ、私はまだエフェクトプリセットとエフェクトの関係がよく分かっていないのです...)。


ChromaKeyerプリセットを選択

エフェクトの編集ウィンドウをオープンして、"Key"タブにある"Pick Key Color"ボタンをクリックします。するとカーソルアイコンがスポイト状に変わりますので、レコードモニターの背景映像をクリックして背景カラーをピックします。


エフェクトエディタウィンドウの"Key"タブにある"Pick key Color"ボタンをクリックして、映像から背景カラーをピックします

背景カラーのピックと同時に、V1、V2トラックの映像が合成されて表示されます。人物周辺(エッジ)の"ヌケぐあい"は、Tuneエリアにある"Chroma Tolerance"、"Gain"をスライドして調整します。


背景カラーのピックと同時に映像が合成されます。人物のエッジのヌケぐあいが甘いので、"Chroma Tolerance"、"Gain"スライダーを調整して追い込みます

私がDSのキーヤーをすごいなと思うのは、スピルカラー(合成物のエッジに乗っている背景カラー色)の置き換え機能があることです。


"Spill Replace"タブ フォアグラウンド映像に残るキーカラーを合成後背景の色に置き換える機能です

スピルカラーを置き換えるには、"Spill Replace"タブの"Pick Hue"ボタンをクリックします。そしてレコードモニターから、フォアグラウンドのエッジ付近の背景映像色をピックします。

さらに、"Spill Matte"タブのスライダーなどを操作し、合成映像の馴染みを調整します。

下のスクリーンショットが最終結果です。なお今回は、"Spill Replace"の効果が分かるよう、フォアグラウンドのエッジ範囲を広くしてあります。実際はもっとエッジを追い込むべきですね。

答案
  • テクニック2:Wipeエフェクトを複数組み合わせて、マスクを調整

う~ん...実は、このテクニック2、かなり面倒でした。まず、結果をご覧下さい...

正直いって、あまり上手く切り抜かれていません...すいません...このマスクエフェクトは、ツリーエフェクトを使って作成しました。それがこちらです。

テクニック2をそのままツリーで実現しました。ミケランジェロの画像に対し、Wipeエフェクトを多重に掛かけ、Compositeエフェクトで合成しています。

Wipeエフェクトに用意されているワイプパターンは、つぎのとおりです。今回は120-Elipseエフェクトを使いました。

ツリーでは、多重化したWipeエフェクトの出力をCompositeエフェクトで合成しています。Compositeエフェクトの"input"を増やすのは、Compositeエフェクトのコンテクストメニューから、"Add/Remove Inputs|Add Input"を実行します。

Compositeエフェクトのエディタを見ると、彫像の各部分をワイプで切り抜いて合成しているのが一目瞭然です。

Compositeエフェクトのエディタには各インプットのミュート"m"、ソロ"s"ボタンがあり、これらをオン/オフすることによって、各ワイプを個別に確認することが可能です。


L3入力のソロボタンを押すと、この画像のみが表示されます

なるほど...Wipeの組み合わせだけでマスクがつくれるなんて半信半疑で始めたのですが、DSにはこんなマスク作成方法もあるんですね。...しかし、このテクニックは、いいにくいですが、実用性はあまり...ないかも?

答案
  • テクニック3:Mask(Matte)エフェクトでマスク範囲を描き、マスクを作成

このテクニックもブログで検証ずみです。ここでは、エフェクトツリーを組んでMatteエフェクトを適用してみます。

"Matte"エフェクトは、V2トラックのソースノードとコンポジットノードの間に挿入します。

"Matte"エフェクトノードをクリックします。"Shape Creation"エリアの"Polyline" ツールをクリックし、像を切り抜きます。

像の輪郭をトレースし終えたら、同じタブにある"Fill Inside"と"Fill Outside"スライダーを調整します。するとShapeツールで切り抜いた画像と背景映像が合成されます。
"Edit Shapes"ボタンを押せば、Shape作成後の微修正が行えます。

答案
  • テクニック4:Graphicエフェクトでマスク範囲を描き、マスクを作成

このテクニックもエフェクトツリーを使って検証してみます。"Graphic"エフェクトノードの挿入ポイントはテクニック3と同じ、ソースノードとコンポジットノードの間です。

"Graphic"ノードをダブルクリックして、ペイントモードに入ります。テクニック3と同じ"Polyline"ツールを使って、像の輪郭をトレースします。


ペイント設定は、Brush(輪郭)をオフ、Fillをオンにします

切り抜き作業を行う場合ペンの"Mask"オプションを、たとえば、RGB,Alphaチャンネルのうち、RとAlphaチャンネルのみをオン、他のチャンネルをオフにしておくと切り抜き結果が確認しやすくなります。


作業中は、"Mask"オプションの"General"タブから、"Paint On Channel"の"Red"と"Alpha"のみをオンにしておくと、作業結果が確認しやすくなります


"Red"と"Alpha"のみオンの状態です。Alphaチャンネルは見えませんが、Redチャンネルによって、一目で赤く着色したエリアが切り抜き範囲だと分かります

切り抜きが完了したら、"Fill"エリアの"Invert"オプションをオンにして、マスク範囲を反転します。

Polylineの各点を微調整し、マスクを完成させます。

最後にマスクオプションの"Red"チャンネル表示をオフすれば、背景画像との合成が行えます。

ふ~む。なるほど、実に奥深い...。マスク1つつくるにも、DSには本当にいろいろな方法があるんですね~。

ようやく、テストの問題に解答できました。さっそく、マエストロN岡さんに解答を送りましょう!!

某月某日 DSマエストロN岡氏からのメール

DSマエストロN岡さんから、メールが届きました。

N岡:『解答にずいぶん苦労したようですが、全問解答ご苦労さまでした。
 試験問題を解いて実感されたと思いますが、合成1つをとってもDSには本当に何とおりもの"やり方"があります。これがDSです』

うん、うん、3問×4テクニックで12とおりの方法を実行するのに、実に2カ月以上かかってしまいました...。締め切りがぐんぐん迫って来るプレッシャーと闘いながら、苦労しました、本当に。
 N岡さんの優しい言葉にじ~んと来ます。

N岡:『11年前、DS v1.0がリリースされたときのキャッチコピーは「Imagination is not linear」でした。どこから作業を始めてもいいし、どこからつくりこんでも構いません。10人のエディターがいれば、10とおりの考え方があるのが映像制作ですし、それが「クリエイティブ」というものです。エディターにとって「できた作品のクォリティこそすべて」ですよね』

このことを伝えたくて、こんな意地わるい、いや、奥が深い問題を考えたんですね。

N岡:『どんなやり方、どんな作業工程にも柔軟に対応でき、「あのモードでこれができるのなら、このモードでもこれができるはずだ」という期待にきちんと応えてくれる。
これが、新たなアイデアを生みクリエイティブの幅を広げてくれるために、クリエイティブツールに求められる必要欠くべからざる要件です』

うん、うん、よ~く分かります。

N岡:『S原さんは、まだDSの入り口を見ただけに過ぎません。たとえば、S原さん、この合成を作ることができますか?』

えっ...? なに?

  • 問題:つぎの3つの素材映像から、最終映像のような合成をつくりなさい
素材映像BG

素材映像GB

素材映像GB_BG

最終合成画像

動画でお見せできませんが、最終合成画像にはウネウネと動く波のようなエフェクトがかかっており、さらに中心から外側に向かうにつれ、円形に暗くなっていきます。

N岡:『この合成映像をつくることができたら、本当に卒業させてあげても良いですよ。
この合成には、トラッキングや、高度なカラコレ、そしてまだ使ってないエフェクトなど、S原さんが知らないテクニックが満載です。いまのS原さんの、DSを前歯でちょっと囓った程度のレベルでは、全然、解けませんね』

ええーっ。じーんとくる話でまとめてくると思ったら、そうきますか。
 言い返せないのが悔しいです。
 しかし、本当にどうやるんだろ?

...そんなわけで、ひとまず連載は終わりますが、DS修行の道はますます険しくなって、まだ続いてくようです...

連載にご協力いただきました関係諸氏には、大変感謝しています。ありがとうございました。
なお、連載に登場した人物はすべて架空です。実在の人物に似ている人が居るとしたら、それは...きっと、偶然です。

約2年にわたってお届けしてきた本連載も今回でひとまず終了です...免許皆伝とはならなかったS原 氏...しかし、これからもDSマスターへの道を邁進してもらいたい。心から(勝手に)願っています...そしていつの日か、その悶絶する姿を、また皆さんにお届けできればと...

(編集部:A部)

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