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DSマスターへの険しい道のり~MCエディターS原の苦悩と歓喜

第9回 エフェクトツリーに挑戦

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本ブログは、リストラの危機を目前にしたMC系ノンリニア(しか使えない)中年オジエディターが、一念発起、四苦八苦・七転八倒しながらも、一発逆転を夢見ながらAvid DS使い(DSマスター?)への棘(いばら)の道を彷徨い続ける物語である...

口は災いの門...不用意な一言が、プラチナDSマエストロN岡氏に火を付け、再び宿題が...どうなるのでしょうか...

(編集部:A部)

某月某日 エフェクトツリーに変化なし...

再び授かったプラチナDSマエストロN岡(Pd.N岡)氏からの宿題...

今回、問題になっているコンテナのツリーを表示してみます。

上図のようになってしまったコンポジットコンテナ("Inset_tif"という名前のコンテナになっています)を展開し、画像のレイヤーを選択してから、タイムラインの左側にあるツリー表示ボタンを押してやれば、エフェクトツリーが表れます。


画像のレイヤーを選択して、ツリー表示ボタンを押す


表れたツリー表示

なるほど。
これがスタート状態というわけですね。では前回解いた、画像レイヤーに外部マスクを追加してやれば、それがツリーに表れるというわけですね。

というわけで、レイヤーにマスクを追加してみます。こういう感じです。

これで合成問題は解決し、正しくフォアグラウンド画像がバックグラウンド画像の上に合成できました。

 

このときのツリーを見てみると、

あぁ、やっぱり...
ツリーにはまったく変化が見られません。
Pd.N岡氏が、簡単に解けるような問題をよこすわけがないよな...

「自力で解け!」ということなんですね。
やれやれ...
中年オジの脳みそは、鍋からすくい忘れた白子のように、どんどん煮え尽きていきそうです...

某月某日 エフェクトツリーに挑む!!

DSのマニュアルでエフェクトツリーの入門編を勉強しました...
で、エフェクトツリーをちょっとかじった結果、ようやく、なんとかPd.N岡氏が送ってきたツリーが組めるようになりました!!
ですので、これから順を追ってツリーを組み立ててみます。勉強の成果をお見せしましょう。ふふふ。
余談ですが、MCの"FluidFilm Progressive"、あれいいですね。これはFluidMotionを利用したエフェクトですが、良い感じにフィルムライクな映像になるんですね。レンダリング時間が半端じゃないですが、「待つ価値アリ」です。
DSではどうやるんだろう?

話を本題に戻します。

下の左側の図が、MCのシーケンスから生成されたコンテナの画像でした。そして、右側の図が、今回エフェクトツリーで合成するゴール画像です。今回はDSでまったくゼロの状態からP in Pエフェクトを組み立ててみます。

スタートは、図のように4つのクリップが並んだシーケンスです。

この4つのクリップを一括でコンポジットコンテナ化します。
使うのは、そう、ウィンドウ左下にあるコンテナ作成ボタンです。4つのクリップすべてを選択してボタンを押すとこれらクリップが1つのコンテナクリップにまとまります。


コンテナクリップ作成ボタン


クリップがコンテナ化された

ひと山越えた感じです。

つぎにコンテナを展開して、エフェクトツリーを表示します。
ツリーのスタート状態はごらんのとおりです。またレイヤービューもいたってシンプルです。まったくなにもありません。


エフェクトツリー。クリップがダイレクトに"Output"へ接続


レイヤービュー

そして、フォアグラウンド画像にピクチャーインピクチャー(P in P)のインセットマスクを適用するため、エクスプローラーから、マスク画像をツリービューのデスクトップにドロップします。


"Inset_tif.Clip"というクリップがインセットマスクになる。アルファチャンネルを利用する


"Inset_tif.Clip"のフォアグラウンドとマスク


クリップをツリービューにドロップするとクリップノードが表示された

さて、このインセットマスクをフォアグラウンド画像に適用します。いよいよエフェクトの登場です。

ツリービューにエフェクトを追加するには、ツリービューのデスクトップでコンテクストメニューを表示して、"Add Effect..."コマンドを実行します。


ツリービューデスクトップに表示されるコンテクストメニュー


エフェクトプリセットウィンドウ


Pd.N岡氏は"Key Combiner-Luma"プリセットを選択したが、"Key Combiner-Alpha"プリセットでも同じ結果をつくることができる

Pd.N岡氏は"Key Combiner(-Luma)"プリセットを使っていました。エフェクトプリセットの中から、同じエフェクトを探し出して"OK"ボタンを押します。


ツリービューに表れた"Key Combiner"エフェクトノード

フォアグラウンド画像と"Output"ノードをつなぐラインを外し、それをエフェクトノードの"RGB"に繋ぎかえます。さらに、インセットマスク画像からラインを引き出して、エフェクトノードの"Alpha"に繋ぎます。

エフェクトノードと"Output"ノードを結ぶとモニターに画像が表示されます。


モニター表示された画像。まだインセットマスクが適用されていない

エフェクトのパラメーターを設定します。

エフェクトノードをダブルクリックすると、プロパティ設定ウィンドウが開きます。


"Alpha"チャンネルソースに、Alphaに接続した画像のアルファチャンネルを選択

マスク画像は、先に示したとおり黒地に白エリアのアルファチャンネルをもっています。だから、今回はマスク画像のアルファチャンネルをそのままフォアグラウンド画像の"Alpha"に適用すればよいはずです。
そこでプロパティウィンドウの"Alpha"タブを開き、"Alpha"チャンネルのソースを設定します。今回はソースのアルファチャンネルをインバートする必要もありません。そのまま使えます。

プロパティを設定したあとレイヤービューを見ると、フォアグラウンド画像のアルファチャンネルの表示が変わりました。インセットマスクが適用されていることがわかります。

コンテナ内に居る間はモニターの映像は何も変化していません。しかし、ステップアウトして親シーケンス上でコンテナ画像を確認すると、しっかりインセットマスクが機能していることが確認できます。


親シーケンス上に表示されたコンテナ合成映像。インセットマスクが正しく適用されている

Pd.N岡氏はエフェクトツリーでPinP画像と背景画像の合成も行っています。
そこで、こちらも背景画像をツリーに読み込むため、エクスプローラーから"BG02_tif"をツリービューにドロップします。

Pd.N岡氏は"Composite"エフェクトを使っていますので、私も同じエフェクトを探し出して適用します。
ところが、このエフェクトは上で使った"Key Combiner"エフェクトと同じ場所にありません。いろいろ探したところ、このエフェクトは"DS Presets¥Tree Effects"フォルダ内にありました。

ツリービュー上に表れた"Composite"エフェクトのL2にPinP画像(フォアグラウンド)、L1に背景画像を接続します。するとコンテナ内でインセットマスクが効いたP in P画像を見ることができるようになりました。
いちいちステップアウトせずにエフェクトの最終結果を確認できるのは便利です。

ここまできて、P in Pフレーム画像までもコンテナ内で合成できるのでは? と思いつきました。
そこでフレーム画像もツリービュー内にドロップし、インセット画像とフレームを"Composite"で合成、さらに"Composite"エフェクトの出力を"DVE"につないでサイズを変更してあげると、コンテナ内ですべてのエフェクト合成が完了してしまいました。

しかも、フレームとインセット画像は同じDVEエフェクトでコントロールされるため、位置やサイズの変更は一箇所で変更できます。MC系ライクな合成では、フレームとインセット別々にサイズや位置を調整するスタイルでしたので、こちらのほうが格段にやりやすくなっています。

背景が今回のサンプルのように静止画像ならば、バックグラウンド画像込みですべての要素をコンテナに組み込み、エフェクトツリー合成するのが便利だと思います。
ですが、"ENGビデオを視聴するスタジオゲストの顔をインサート"するような、何回もフェードイン&フェードアウトを繰り返すP in Pの場合、コンテナクリップにバックグラウンド画像を持ち込まないほうが作業がやりやすそうです。

これまでの知識を総動員して、下に実際の編集で使いそうなP in P合成を考えてみました。

■P in Pコンテナ


コンテナでは、P in Pフレームとインセットマスクを適用したフォアグラウンド画像を合成

■P in Pの中にある映像の微調整


クリップによっては、フォアグラウンド画像の表示したい箇所がP in P内に上手く収まらない事も少なくない


このような時、個別にクリップエフェクトを適用して、位置調整をするのが便利なようだ

■バックグラウンドとの合成


バックグラウンド画像との合成は、トップのタイムラインで行う。なおP in Pクリップの配置位置の設定は、コンテナが編集されたトラックへトラックエフェクトを適用してやれば、各コンテナクリップで個別に位置設定を行う必要がない

いやはや、たったP in Pをつくるだけでも、DSでは何通りもの方法があるんですね...。正直、びっくりしました。ですが私は、基本的にこういう、とらえどころのない、「うなぎ」のようなソフトウェアはキライではありません...が、あ~大変そうですな。

某月某日 エフェクトツリー直伝メール

Pd.N岡氏からメールが届きました。

Pd.N岡:「DSのツリーエフェクトは、バージョンアップによって途中から追加された機能です。ツリーエフェクトは、従来のDSがもっていたエフェクト機能を一切変更せずに組み込まれたため、初心者にはとてもわかりづらくなっている機能でもあります」

Pd.N岡:「エフェクトツリーには、『エフェクトツリーはLayerビューに所属する』という基本ルールがあります。
たとえば、下の図のようにコンポジットモードで簡単なピクチャー イン ピクチャー(P in P)を作成する場合、エフェクトは図に示した (1)、(2)、(3) の順番に掛かります」

  1. (1) トラック上の編集とエフェクト(例は下のクリップにクリップエフェクトとしてDVEを適用)
  2. (2) それぞれのクリップがツリーエフェクト化(上のクリップにツリーエフェクトとしてDVEが適用、上下2つのクリップが合成)
  3. (3) エフェクトツリーの"Output"ノードを通過した出力がLayerビューに立ち上がる

Pd.N岡:「DSは1つの画像合成を作成するのに何通りも方法があります。これはDSの長所です。エフェクトツリーとレイヤーの仕組み、ツリーエフェクトと従来のエフェクトの関係は確かにややこしいですが、これらの仕組みと関係が理解できてしまえば、より柔軟なエフェクト合成が行えるようになります。
たとえば、"P in Pのベース画像がディゾルブで、つぎのクリップに切り替わる。しかもつぎのクリップはカラコレによって白黒化されている"ような場合、これらのエフェクトは、クリップエフェクトやトラックエフェクトによって処理、そしてそれをエフェクトツリーに立ち上げるというのがシンプルで理解しやすい方法でしょう。
まずは、このDSのコンポジットの基本を覚えてください」

...なるほど。
数週間前なら"ちんぷんかんぷん"だったであろうPd.N岡氏の説明が、いまではなんとなく理解できます。連載スケジュールを大幅に変更してやっとここまで到達できましたが、この大回りは無駄ではなかったようです...。

某月某日 以前の疑問に回答が届きました!!

以前、MC系NLEからDSにマットキーを読み込んだところ、同じ素性のマットキーエフェクトながら変換結果が異なってしまうという現象がありました。これです。

上図のように、MC系NLEではP in P(ピクチャーインピクチャー)のフレームも中身(インセット)も同じタイプのマットキーエフェクトなのに、それをDSに読み込むと、なぜか、フレームのほうだけDVEが外れ、P in Pのスケールや位置情報が反映されない...というものでした。

この件について、Pd.N岡氏がアメリカに問い合わせたところ、どうやらアプリのムチャクチャ珍しいバグ~なんでも日本オオカミやツチノコの発見に相当すらしいです(そんなことはないか)~が見つかったそうで、つぎのような回答が戻ってきました。こんな感じです。

  1. (1) DSが、アルファをもっていない状態のMCのMatte Keyをコンフォームした際に、エフェクトが失われるのは仕様です。
    DSではアルファキーはクリップにエンベッド(統合化)された状態で扱い、タイムラインに直接配置されます。MCのMatte Keyで、アルファとして使うべき映像が存在しない場合、DSではMatte Keyエフェクトを無視してコンフォームします。必要がないからです。
    MCはアルファが存在するかしないかに関わらず、かならずMatte Keyクリップとしてインポートします。Matte Key以外の方法で、画像に対するアルファを指定する方法がないからです。
    アルファチャンネルを持っているMatte Keyクリップの場合、DSではMatte Containerとしてコンフォームします。
  2. (2) ただし、MC側で正常にアルファチャンネルクリップをもっていたとしても、DSのMedia Indexerがアルファ用のMXFファイルをスキャンした後、そのクリップを正常にリンクできない場合があることがわかっています。この現象は開発チームで認識されており、今後のリリースで改善する予定です。
  3. (3) さらに、フォアグラウンドクリップが存在しない状態のアルファクリップがディスクに存在する場合、DSでリンクする際にDSがクラッシュする現象も発見されています。

どうやら今回の不具合は(2)と(3)が原因で正しく変換できなかったようです。というわけで、一解決。

余談ですが、私は、昔から、なぜかバグを見つけるのが得意で、ちょっと前にはコピー機(正確にはFAXやプリンターがついた複合機です)のバグに遭遇しました。
...どうやら、私は宝くじには当たらず、こういうところで自分の運を使ってしまっているのかもしれません...

P in Pの攻略を掲げたのが連載第6回のとき...寄り道をしながらも、ようやく1つの成果が実り、つぎの段階に進んで行けそうです。え? もう一回? ...あ、なるほど。それは良い考えですね。よろしく御願いします。

(編集部:A部)

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