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DSマスターへの険しい道のり~MCエディターS原の苦悩と歓喜

第6回 ピクチャーインピクチャーを攻略

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本ブログは、リストラの危機を目前にしたMC系ノンリニア(しか使えない)中年オジエディターが、一念発起、四苦八苦・七転八倒しながらも、一発逆転を夢見ながらAvid DS使い(DSマスター?)への棘(いばら)の道を彷徨い続ける物語である...

ようやくプロローグも終わって、いよいよ、本格的なノウハウの習得に向け意気揚々のS原 氏。さて、なにから手を付けるのでしょうか...

(編集部:A部)

某月某日 今のワタシが必要なモノ

私は現在、AvidのXpressProやXpress DVなど、Avid MC系NLEでオフライン編集したシーケンスに対して、Symphony Nitrisを使って完パケ仕上げを行っています。

Symphonyの完パケ作業で行っているのは、

  • ピクチャーインピクチャー(P in P)などの画面合成
  • カラーコレクションやミストなどの画質処理
  • 画像のセグメントやトランジェントエフェクト
  • 人物やオブジェクトの切り抜き、マスク、キーイングによる合成
  • テロップ付け

などです。私が普段Symphonyで行い慣れているこういった作業は、DSではどのように行うのでしょうか? とても興味があります。そこで、これからの連載では、上記の諸作業について、SymphonyとDSとの作業を比べていくことにします。

「お前はDSの潜在能力をまったく引きだそうとしていない、お前はDSから逃げている」とDS使いのみなさんから怒られそうですが...。

某月某日 エフェクトのキホン、ピクチャーインピクチャー(P in P)

まず、エフェクトのキホン中のキホンとも言える、ピクチャーインピクチャーを攻略します。

上のシーケンスに、私がよく使う2つのタイプのP in Pエフェクトを再現してみました。シーケンスはV1トラック基準で4つのパートに分かれています。最初のブロックはベース画像の上に画像を置いたモノ(エフェクトをつくるためのオリジナル)です。2番目のブロックは、MC系NLEのリサイズ、2D-P in P、3D-Warpエフェクトを掛けたクリップを並べています。これらのエフェクトがDSのどんなエフェクトに変換されるか調べるためにつくりました。仕事で使うP in Pエフェクトは、その後ろにある2つのブロックになります。

それぞれのP in Pエフェクトを簡単に説明します。

まず、3番目のブロックのP in Pですが、こちらはMC系NLEにインポートしたマットキーエフェクトクリップを使ってエフェクトを構成しています。V4トラックのマットキークリップがP in Pのフレーム、V3トラックがPinPのインセットになります。

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P in Pされるクリップは、V3トラックのフォアグラウンドトラックにドロップしてあります。各クリップにリサイズエフェクトを掛けているのは、P in Pフレームに対する画像位置を微調整するためです。

もう1つのP in Pは、V4トラックがP in Pのフレーム、V2トラックがベーストラック、V1トラックがP in Pのインセットになります。ベーストラックにはAniMatteエフェクトが掛けてあり、ベーストラックに穴を空けるようにしてP in Pエフェクトを実現しています。

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インセット内のクリップは、AniMatteで空けられた穴にうまく収まるようリサイズエフェクトで微調整します。余談ですが、ふだんこのようなP in Pをつくる場合、こちらのタイプでエフェクトを作成することは余りありません。今回はちょっとムリヤリつくってます。

さて、このシーケンスをAFE変換してDSに取り込んでみます。

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DSに読み込ませてみると、シーケンスの"つくり的"には、MC系NLEのそれを再現しているようです。しかし、画面を見ると1つ目のP in Pはインセットは正しく再現されているようですが、フレームはスケールと位置データが失われてしまっています。また2つ目のP in PではV1トラックのリサイズエフェクトは再現されていますが、ベーストラックのAniMatteエフェクトがNG(穴が開いていない)、P in Pのフレームは1つ目のエフェクトと同様にスケール・位置データが消失しています。予想はしていましたが、やはりエフェクト情報は正しく再現されないことがわかりました。

また、1つ目のP in PはMC系NLEではステップインしたエフェクトで実現しています。こうしたエフェクトはDSではコンテナクリップで実現していることがわかります。


コンテナクリップをダブルクリックしてコンテナ内を見ると、Matteトラックにマスク、フィルトラックにインセット画像が変換されていることがわかりました

さて一体どうすれば、この変換されたシーケンスをオリジナルのMC系NLEと同じにすることができるでしょうか...。

某月某日 変換エフェクトの分析

前回、MC系NLEからDSへ読み込んだP in P付きシーケンスで起きた、エフェクトの非再現性について、Pd.N岡(プラチナDSマエストロ N岡)氏に質問してみたところ、あっという間に返事が返ってきました。

Pd.N岡:「確かにご質問のとおり、DSとMC系NLEのエフェクトの互換性については、現在残念ながら限界があります。S原さんのような、MC側からDSを攻める方にとって、DS-MC間のエフェクト変換の限界については必須知識ですね。なかなか目の付けどころが良いですね」

...ふふふ。ほめられました。

人間、いくつになっても、ほめられると嬉しいものです。やっぱり「ヒトはほめられて育つ」んです。大切です。

Pd.N岡:「DSへの読み込み時に発生するエフェクト制限については、DSヘルプに詳しい情報があります。そちらを教えますから、ご確認ください」

教えてもらった、DSヘルプマニュアル[AFE(Avid File Exchange):Supported Effects]によると、MC系NLEエフェクトのサポートには5つのレベルがあり、それをA~D、そしてサポート未対象に分けています。

ヘルプマニュアルの英文を自分につごうよく訳すと、こんな感じでしょうか。

ヘルプマニュアルには、MC系NLEの全標準エフェクトについてサポートレベルが記載されていますが、あまりに膨大なので別ページに紹介しました。

今回のMC系NLE-DSシーケンス変換で作成したピクチャーインピクチャーは、

Type1: インポートしたαチャンネル付き静止画(インポート後リアルタイムマットキーエフェクトとして扱われる) + リサイズエフェクト

Type2: Animatteエフェクト+リサイズエフェクト、インポートしたαチャンネル付き静止画像で作成しています。

これらのエフェクトのサポートレベルを調べてみると、


Type1で使っているエフェクト


Type2で使っているエフェクト

マットキー、リサイズエフェクトはAレベル、AnimatteエフェクトはDレベルにランクされています。

今回の実験でちょっと不思議なのは、Type1のP in Pで、V3とV4ともPhotoshopで作成したαチャンネル付きマットキーエフェクトを使用しているのですが、V3トラックのクリップにはDVEエフェクトが掛かって、正しくスケール・位置が再現されているのに、V4トラックの方はエフェクトが掛け忘れられてしまって、画面にそのまんまフレームが現れてしまっています。マットキーエフェクトはレベル"A"なので、こういうことは起きないはずですが...。

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Pd.N岡さんは、この現象について「米国に問い合わせる」とおっしゃっていました。自分は、こういうところがいかにもAvidらしくって好きです。Pd.N岡さんもそうにちがいありません(勝手に断定しています)。

ま、ちょっとした不具合はありますが、Type1のようなつくりのP in Pなら、MC系NLEで仕込んでも、DSでの補正作業は簡単そうです。実際、V3トラックのクリップに掛けられているDVEエフェクトをV4トラックのクリップにコピー&ペーストすれば修正完了です。

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知恵05:リサイズ、読み込み(インポート)マットキーエフェクトのP in Pは変換OK

と、ここまで書いてきて、Pd.N岡さんからのメールに続きがあることに気がつきました。

Pd.N岡:「S原さんは読み込みマットキーでエフェクトのテストをしていますが、S原さんもご存じのとおり、MC系NLEの読み込みマットキーは3Dプロモート機能を使って3Dマットキーに変換できますよね。MCで読み込み画像を3Dマットキーに変換したエフェクトがDSでどのようなエフェクトに変換されるか、調べておくとよいかもしれません」

Pd.N岡:「そしてもし、その変換されたエフェクトの修正が必要になったとしたら、S原さん、できますか? 困ったら、ヒントはサポートテーブルのマットキーのコメント欄にあります」

なんとも思わせぶりな書き方です。怪しいニオイがプンプンします。「読み込みマットキーを3D化すると、なにかが起きてしまうぞ」といわれてますね、これは...

Pd.N岡さんのメールにあるとおり、MC系NLEでは読み込んだαチャンネル付きマットキーは、エフェクトエディタの3Dプロモートボタンを押して3D化することができます。

記事写真 記事写真

3Dへプロモートすると、クリップに3D-DVE効果が付けられるようになりますが、まあ、違いはそんな程度しかありません。3D/非3Dエフェクトには、リアルタイム再生性能やら、レンダリングスピードやら、細かな違いがあります。ですが、自分は通常、あまり3D/非3Dの使い分け意識せず、ポーンとエフェクトを3Dにプロモートしたり、しなかったり、結構いい加減に使っています。

Pd.N岡さんに言われるまま、Type1のV3、V4トラックのクリップを3DにプロモートしてDSにシーケンスを読み込んで見ました。その結果がこれです。

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第一印象は「ガガーン」でした。最初、なにが起きたか、まったくわかりませんでした。が、しばらくすると状況が飲み込めてきました。これは多分、αチャンネルがひっくり返り、さらにスケール情報が失われているということなのでしょう。
う~ん、これを見たら「あ、NG」って思ってしまいますね。私は...

しかも、こちらの場合、V3、V4トラックは、両方ともコンポジットコンテナ化しています(3D化しないマットキーの場合はただのマットコンテナでした)。中を覗いてみるとこんな感じです。

う~ん。
私は、これまでMCでマットキーと3Dマットキーの違いを対して意識せずに使ってきました。でも、ちょっと3Dプロモートボタンを押すだけでこんなに違ってしまうとは...。まるで、ちょっとしたボタンの掛け違いから殺人事件が起きてしまうような現代の世の中のようです。DSは奥が深いです。

で、これをMCのシーケンスどおりのエフェクトに修正しろ...ですか。

 

Pd.N岡さんのヒントに従って、マットキーエフェクトの備考欄にあるリンクを辿っていくと、マットキーとαチャンネルに関する注意書きが書かれたページに、つぎのような記述がありました。

"However, imported graphics promoted to 3D Matte Keys are not conformed. Avid DS Nitris replaces the 3D Matte Key as a DVE within a Composite container without the original effect parameters."

しかしながら、3Dマットキーにプロモートしたインポート画像はコンフォームされない。Avid DS Nitrisは3DマットキーをDVEが含まれるコンポジットコンテナに変換する。オリジナルのエフェクトパラメータは省かれる"

という具合でしょうか。

この文章の下にヒントが続けて書かれていました。

"To set up the matte key correctly:
- Open the composite container.
- In Layers View, marry the fill and matte by dragging the matte to the fill layer.
- Invert the alpha channel.
- Delete the old matte layer and the DVE effect on the alpha channel.
- Apply a Layer DVE inside the container or a DVE clip to the outside and recreate any animation."

ということなのですが、これがよくわからない...のです。

1行目の"Open the composite container"というのは、"コンテナを展開しろ"というとだと理解し、クリップを選択し、タイムライン下のステップインボタンを押してコンテナを展開しました。

ところが、2行目からお手上げです。
"Layers View"をヘルプマニュアルで検索して、似たような画面に切り替えるまではできたのですが、その後の"marry the fill and matte..."がわからない。"marry"って"結婚"? "dragging the matte to the fill layer"って、言っていることはわかりますが、画面のどこがmatteで、どこがfillなのか...う~ん。


おそらく、これがLayers Viewというものだと思うのですが...。左上のエリアはLayers controlと呼ばれる場所らしい...

困った...。

Pd.N岡 氏の助けもあって、らくらくクリアーと喜んだのも束の間、逆に宿題をいただいてしまったS原 氏...なかなか思ったようにはいかないようです。果たして...

(編集部:A部)

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