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取材・文=秋山 謙一(イメージアイ)

トムソン・カノープスが、新ハードウェアボードの "HDSPARK" と "FIRECODER Blu" をThomson Grass Valleyブランドで発売
InterBEE2008にはThomsonとして出展

トムソン・カノープスは、11月6、7日、東京・日本橋のカノープス東京本部セミナールームで内覧会を開催し、IBC2008で発表した新製品を初め、現行ソリューションを映像制作関係者に対して披露した。この内覧会に合わせて、6日には記者会見も実施。新ハードウェアボード "HDSPARK" と "FIRECODER Blu" の概要を紹介し、デモンストレーションも行った。

10月1日から「トムソン・カノープス」と社名を変更したカノープス。InterBEE2008はトムソン・カノープスとして初めての展示会出展となる。11月11日に発表された出展概要では、Thomsonとして、同社のコーポレートカラーである赤・白・グレーを基調としたブースを構えることが明らかとなっている。またこれに伴い、昨年までのThomson Grass Valley製品とカノープス製品それぞれによるワークフローの紹介から、両者を融合したワークフローやソリューションを紹介するものへと変更になるという。

トムソン・カノープス マーケティングコミュニケーション部 アンディ・スミス氏

「トムソン・カノープスという社名変更に合わせて、ブランドで区分けするのではなく、各製品のワークフローやソリューションに合わせて紹介していく形をとります。具体的には、放送やプロ映像の編集製品ソリューションのEDIUS Pro関連、デジタルサイネージなどにおけるSTB(セットトップボックス)ソリューションとしてのMEDIAEDGE関連、ライブ中継ソリューションとしてのK2 DynoとK2 Summit関連です。カノープスというブランドは国内で開発した技術として『Powered by Canopus』という形で残しますが、メインブランドはThomson Grass Valleyとして展開していきます(マーケティングコミュニケーション部 アンディ・スミス 氏)」

今回の出展の核となるのは、HD編集ソフトウェアEDIUS Pro 5を中心としたワークフローだ。EDIUS Pro 5ベースのターンキーシステムとして新たなラインナップを発表したばかりのHDWSシリーズとREXEEDシリーズや、EDIUS Pro 5による編集環境を強化するためのPCI Expressボードとして登場したHDSPARKやFIRECORDERシリーズなどを出展する。

ステージデモでは、トムソン・カノープス全体のソリューションを紹介するとともに、EDIUS Pro 5のデモンストレーションとライブイベント中継システムのデモンストレーションを行う。

トムソン・カノープス 企画マーケティング部 久木 海 氏

HDMI出力対応HD編集システムHDSPARKは、PCI Expressバスに挿入するHDMI出力インタフェースボードと編集ソフトウェアEDIUS Pro 5で構成する製品だ。企画マーケティング部の久木 海 氏は、製品の特徴について、つぎのように話した。

「HDビデオ編集はファイルベースで行うことが中心になってきていて、ベースバンドで取り込むといったインジェストの部分が必要なくなってきています。このファイルベース編集の時代になにが必要かと考えたときに、最終的なビデオ出力はPC上で確認するのではなく、ハイビジョンテレビで見れるようにする必要性があります。コンシューマーでも業務でも使えるインタフェースで、さまざま解像度、さまざまなフレームレートに対応していることからHDMIの採用を決めました」

HDMI出力インタフェースボードは、ロープロファイル、ハーフサイズのコンパクトなカード。省スペース型のPCであっても搭載が可能だ。付属するソフトウェアで、HDMI端子に接続したディスプレーが対応している映像信号規格も確認できる。HDSPARKは、HDMI出力端子のほかに、アナログオーディオ出力用のRCA端子が付いている。

「映像編集では、映像と音声の同期がとれているかを確認するためにオーディオ出力を聴く必要があります。HDMIから出力される信号にはオーディオ出力も含まれていますが、ワイドPCモニターに表示する場合にスピーカーがない場合もあります。そこで、スピーカーを繋いで確認できるようにRCA端子も付けました(久木 氏)」

プレビューウィンドウの出力とトリムウィンドウの出力の切り替えも高速なことも特徴だ。

「ソフトウェア上でプレビューとトリムを切り替えるよりも速く、モニター側の出力が切り替わります。HDMIの出力は、出力側とディスプレーの間で映像信号の規格を合わせるネゴシエーションを行うため、どうしてもワンテンポ遅れてしまうことが多かったのですが、HDSPARKは快適な操作性を実現するために、遅延を最小限にするように開発に注力してきました(久木 氏)」

HDSPARKは、価格面でも思い切った設定をしており、11月21日から8万9800円(税別)で発売される。EDIUS Pro 5が7万9800円(税別)であるから、+1万円でHDSPARKインターフェースボードが提供されることになるわけだ。また、EDIUS Pro version 4ユーザー向けのアップグレード版は5万9800円(税別)で提供される。ボード単体販売に関しては、今後時期をみて提供を開始する予定だ。

HDMI出力インターフェースボードHDSPARK

トムソン・カノープスのコーデックアクセラレーターが、FIRECODERシリーズだ。9月の製品発表では、パナソニックP2 AVC-Intra 100/50のファイル出力に対応したFIRECODER Intraの発売だけがアナウンスされ、H.264-MPEG2の相互ファイル変換が可能なFIRECODER Bluは発売時期未定となっていた。今回の製品発表で、正式にラインナップに追加されたことになる。

H.264/MPEG2コーデックアクセラレーターFIRECODER Blu

「EDIUS Proでは、マルチフォーマットの編集をソフトウェアで実現してきましたが、やはり処理の重いコーデックもあります。それをどう高速化していくかという部分に対し、ハードウェアコーデックを使用して圧縮/伸張の一部をサポートする機能をもたせたものがFIRECODERシリーズです(久木 氏)」

FIRECODER BluはH.264とMPEG2の相互ファイル変換を実現するコーデックアクセラレーターで、Blu-ray Disc作成やH.264-MPEG2の相互ファイル変換を実現する専用ソフトウェアFIRECODER WRITERとPCI Expressカードのハードウェアエンコーダーで構成する。

「エンコーダー部分には、東芝製メディアストリーミングプロセッサーSpursEngineを搭載しています。SpursEngineは、1つのプロセッサー上に、MPEC2コーデックチップとH.264コーデックチップが組み込まれ、さらにソニー、東芝。IBMが共同開発しているCellプロセッサーコアが4つ載っています。このSpursEngineを使い、当社のソフトウェアとドライバを組み合わせることで、高速なファイル変換を実現しました(久木 氏)」

FIRECODER Bluにバンドルされるファイルコンバート/ライティングソフトウェアFIRECODER WRITER

HDV1080iからH.264への変換は素材実時間の約半分で、SDのMPEG2からSDのH.264では素材実時間の約1/4の時間で変換が可能になるという。SD-HD相互のアップ/ダウンコンバート機能も搭載している。アップコンバート時は、Cellの高速演算処理を活かして、アップコンバート画像から再ダウンコンバート画像を生成し、それとオリジナルの差分が最小になるまで繰り返し演算する「超解像技術」を用いたスケーリング処理を行うことで、映像クォリティを向上させている。

FIRECODER BluにSpursEngineを採用した点について、久木 氏はつぎのようにコメントした。

「当社は数年前から、画質向上面やストリームの整合性といった部分について、東芝さんに協力をしてきていました。Blu-ray DiscにMPEGストリームやプロファイルを、正しく書き込めるエンジンはSpursEngineしかないと思っています。メインプロファイルだけでなくハイプロファイルにも対応していますし、画づくりの部分に関しては、相当協力しました。当社は高性能なプロセッサーを使いたいですし、東芝は高品質なエンコーダーを作りたいという部分で、ビジネスが合致したということです。昨年と今年のCEATEC JAPANの東芝ブースでSpursEngineの出展がありましたが、1年間であっても相当画質が変わったことがわかったはずです」

SpursEngineと冷却用ヒートシンク、放熱用のファンで、PCI Expressカード上の大部分を占めており、演算処理にはかなりの負荷がかかっていることがわかる。ファンは演算中は常時回転し続けることもあり、より高性能なファンを搭載することで、ファンの性能低下によるトラブルが生じないようにも配慮している。
 FIRECODER Bluは、11月21日に4万9800円(税別)で発売される。

すでに発売されているHDSTORMを含め、HDSPARKとFIRECODER シリーズは、トムソン・カノープスとして久しぶりのハードウェアボード製品である。FIRECODER Bluに関しては、来年早々にEDIUS Pro5との連携機能が追加されるという話も出ているので、今後の展開にも期待したい。

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