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取材・文=秋山 謙一(イメージアイ)

Autodeskが、カラーグレーディングLustre 2009とビジュアルエフェクト・フィニッシングシステムの機能拡張Extension1を発表
LustreとInferno/Flame/Flint/Smokeを同一プラットホームで使用可能

Autodeskは、アムステルダム(オランダ)で開催されたIBCv 2008に出展し、Lustre 2009を始め、各システムのExtension1を発表した。それぞれ2008年10月より出荷開始の予定になっている

Autodeskは、9月12~16日にアムステルダム(オランダ)で開催されたIBC 2008に合わせて、カラーグレーディングシステムLustre 2009とLustre向けのリアルタイムシステムアクセラレーターIncinerator 2009、ビジュアルエフェクト・フィニッシングシステムInferno/Flame/Flint/Smoke向けの機能拡張Extension1を発表した。

Extension1は、サブスクリプションのメンバーに提供される拡張機能。各種機能のほか、カメラコーデック対応の強化やLustreとのインターオペラビリティの強化などが図られている(IBC2008)

2008 NAB Showで発表となったInferno、Flame、Flint、Smokeの各2009バージョンは、ビデオカメラの圧縮コーデックに対応することで放送・ポストプロ市場向けに機能を強化したことが大きな特徴だった。それから約半年で発表されたExtention1は、サブスクリプションユーザー向けに無償で提供される。日本では、ほぼすべてのシステムがサブスクリプションの登録をしていることから、Extention1の提供と同時に今回発表となった機能が使用できるようになる。

オートデスク メディア&エンターテインメント(東京都中央区:TEL03-6221-1818)でマーケティングを務める林 智子 氏は、この半年間の取り組みについて、つぎのように話した。

「NAB Show以降、今回のリリースも一貫して、放送・ポストプロ市場に向けた取り組みを強化しています。日本を含めたワールドワイドで進めている戦略です」

Extention1では、選択したクリップをNVIDIAグラフィックスカードのSDI出力経由でブロードキャストモニターにフルスクリーン表示したり、QuickTimeファイルに含まれるタイムコードとリール名の情報をQuickTimeメタデータに付加して読み込めるようにしたりといった制作ワークフロー面を強化したほか、Lustreとのインターオペラビリティの向上など、さまざまな強化を行っている。Inferno/Flame/Flint向けには80以上の新しいパーティクルシステムプリセットを追加したり、Smokeでは編集ワークフローの機能強化も図っている。

オートディスクメディア&エンターティメントプロダクトマネージャー 林智子氏

「これまでも、Inferno/FlameとSmokeはコンパニオンライセンスを使用して同一のプラットホームに載せて、いずれかを切り替えて使用することが可能でした。今回は、さらにLustreも同一プラットフォームに載せることが可能になり、同時に立ち上げて利用することができるようになりました。GPUコンピューティングも活用しているので、以前のプラットホームについてはグラフィックスカードの交換などが必要になる場合もありますが、同時利用を可能にすることでインターオペラビリティを改善しています」(林 氏)

利用可能なカメラコーデックも大幅に増やしている。ソニーのXDCAM EXや池上通信機/東芝のGFにはまだ対応していないものの、アルファ付きQuickTimeアニメーションファイル、QuickTimeのMotion-JPEG、XDCAM/XDCAM HDコーデック、パナソニックP2 AVC-Intra (50/100モード)といった圧縮コーデックについては利用が可能になった。

「取り扱いのできるカメラコーデックは、今後も増やしていく予定です。カメラコーデックを増やすにあたっては、なにかを間に挟んで実現するよりも、カメラメーカーと話し合ってネイティブにサポートしていくほうが、ユーザーの制作ワークフローのなかでは助かることも多くなります。コーデックを使用するためには、各社とのライセンス契約などもありますので、契約をクリアーしたものから順に提供していくことになります。開発は終わっているもののライセンス契約が終わっていないために追加していないものもありますし、今後も引き続きカメラコーデックを増やしていきます。楽しみにしていてください」(林 氏)

Lustre 2009ではLinuxでのスタンドアローン運用も可能となり、さらにビジュアルエフェクト&フィニッシングシステムと同一プラットホームで使用することが可能となっている

カラーグレーディングソフトウェアLustre 2009は、Inferno/Flame/Flint/Smokeと同じプラットホームで使用できるようになった。また、GPUコンピューティングの手法を採り入れ、グラフィックスカード上でも演算処理をすることによってステレオスコピック(立体視)におけるカラーグレーディングも行えるようになっている。

登場して4~5年が経つLustreだが、日本における導入実績については、まだまだという状況が続いている。林 氏は、「ワールドワイドでみても、これほど導入が進まない国というのは日本だけなんです」と打ち明けた。これには、日本市場の特性も、Lustre導入が進まない原因の1つであると捉えているという。「Lustreは、カラーグレーディングシステム単体製品として、海外では導入がかなり進んでいます。もともとはフィルムのカラーグレーディングに特化した製品であり、フィルム制作におけるDI(デジタルインターメディエイト)作業部分に使用されるカラーリストのためのツールとして進化してきました。日本の映画産業は低予算のプロジェクトも多く、機材の新規導入や新しい技術に追いついていくことが他の国に比べて難しいケースもあり、Lustreの導入がなかなか進まない現状もあります。しかし、日本はCM制作に多くのコストをかける傾向があり、ビジュアルエフェクトシステムのInfernoに関しては日本での導入が最も多くなっています」(林氏)

こうした日本市場に対しオートデスクは、日本市場における販売強化のための機能向上や販売戦略をAutodesk本社に要望としてあげたことから、今回のバージョンアップで行った同一プラットホーム化を実現することができたのだという。

「日本における素晴らしい作品づくりにLustreが少しでも貢献できないか考えたときに、現状のワークフローの中にツールを組み込んでもらうのがいいと判断しました。1つのシステムの中に2つのソフトウェアを載せて、そのアプリケーション間を意識せずに行き来できるようにすることのメリットを本社に訴求し、日本だけでなく、ワールドワイドでこの方法を展開することに決まりました。今後も海外ではスタンドアローンの導入と並行して、LustreとInferno/Flame/Smokeの組み合わせによるインストールが進む見通しですが、日本の編集室にもLustreが受け入れられると期待しています」(林 氏)

日本市場におけるカラーリストへのサポートや育成面での取り組みも始まっている。1四半期に2回のペースで、カラーをテーマにしたメールマガジン「The Color Magazine」を登録者に対して配信しているほか、今年10月中旬にはオートデスク製品ユーザー向けにLustreを使用したインターオペラビリティ改善に関するハンズオンセミナーの開催を予定しているということだ。

「The Color Magazineは、日本限定のメールマガジンなんです。カラーに対する興味をもってもらいながら、ツールへの意識も高めていこうという取り組みでもあります。各システム間でのカラーマネジメントは重要であり、課題になっています。ある段階では気にしなくてもいいことが、この段階では気をつけなければいけないという部分を、はっきりさせていこうというのが趣旨で、Autodesk本社でカラーサイエンス テクニカルリードを務めるDoug Walkerが執筆し、それを翻訳して配信しています。彼はコダック出身ということもあって、最初はフィルム寄りの内容だったのですが、日本市場の状況や特殊性を伝えることで、ビデオ制作者向けに、フィルム系の技術を活かしたカラーマネジメントの話題に変更してもらっています」(林 氏)

単一のプラットホームで運用可能になることで、Lustreと、Inferno、Flame、Flint、そしてSmokeによる、ミニマムな最小規模でのインターオペラビリティが実現する。もちろん、導入後に規模を拡張し、従来のネットワーク型に移行することもできるので、より柔軟なシステム構築が可能となるだろう。Lustre 2009とExtention1は、間もなく10月からの出荷予定となっている。

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