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取材・文=秋山 謙一(イメージアイ)
Matroxが、待望のポータブルI/Oディバイス「MXO2」を発売開始
モバイル利用を考慮し、バッテリー運用も可能に
Macintosh用ポータブルI/OディバイスMXO2
Matroxは、IBC2008の開催に合わせて、ついにMacintosh用ポータブルI/OディバイスMXO2の出荷開始を発表した。日本国内では、Matrox製品の販売・サポート体制が一新してから初めての新機種がMXO2となる。いよいよ入荷を目前に控えた国内輸入総代理店のコムテックスを訪ねて、お話をおうかがいした。
日本市場における新たな販売・サポート態勢を確立
コムテックス 代表取締役
宮石 誠 氏
Matrox(マトロックス)は、今年4月に米ラスベガスで開催された2008 NAB Showで、ポータブルI/OディバイスMXO2を発表した。サウスホール1階の正面入口脇に設けられたブースであったこともあり、新ディバイスのMXO2は、大きな関心を呼んだ。
しかし、近年、日本市場におけるMatrox製品の販売・サポートは充分な態勢が整わなかったことも否めない。やはり、Matrox本社としても、HD制作市場の大きさから日本市場は重要だと考えていたようで、7月11日に東京・青山のカナダ大使館において、「マトロックス新体制デビューイベント」を実施し、新たな販売・サポート態勢を発表した。そこで発表されたのが、国内輸入総代理店をストレージ関連製品を取り扱うコムテックス(東京都品川区、TEL03-5759-5111)が務め、製品ソリューションの販売とサポートをミュージック制作ソリューションを販売するオービット(東京都渋谷区、ミューズテクス事業部=TEL03-5459-1161)が担当する、販売・サポートの協業態勢だった。
映像分野では聞き慣れないコムテックスという会社は、どんな事業を行っているのだろうか。
「当社は、半導体電子部品の商社としてスタートし、現在は産業用組み込み機器とストレージ製品の輸入・販売を中心に展開している輸入商社です」答えてくれたのはコムテックスの宮石 誠 代表取締役だ。
「産業用の組み込み製品は安定的な状況にあるのですが、ストレージ製品に関しては大容量化と高速化、低価格化のなか、厳しくなってきている状況もあります。放送・ポストプロ市場に関しては、ノンリニア製品には信頼性の高いストレージ製品がかならず必要になる分野でありながらも、あまり事業展開していませんでした。今回、Matrox製品の取り扱いを開始するにあたり、新たに放送・ポストプロ市場に取り組むために、映像システム事業部を立ち上げて取り組むことにしました」(宮石氏)
コムテックス 映像システム事業部
事業部長 吉田 英 氏
そんなコムテックスがMatrox製品を扱うことになったきっかけは、これまでいくつかの会社でノンリニア製品の販売・サポートを担当していた吉田 英 氏が、コムテックスに所属していたからだという。
Matroxは2007年末、日本市場での新たな販売戦略の策定をするために、日本市場の制作ワークフローについてヒアリングを重ねていた。企業ヒアリングを行いながら今後の販売態勢を検討するなかで、ノンリニア製品を取り扱ってきた吉田氏と、映像制作システムに事業拡大を検討していたオービットを組み合わせて事業展開する方法を模索していたようだ。
「当初はこれまでのノンリニア製品取り扱いの経験から個人的に話があったのですが、すでにコムテックスの社員でもありましたし、どういう形で取り組むのがいいのかを検討しました。輸入商社として映像制作システムの輸入を行うことには問題がないのですが、日本での販売・サポートの態勢づくりには社内態勢も大幅に強化しなければならず、当社だけでは難しい状況でもありました。そこで、当社が輸入とマーケティングを担当し、オービット ミューズテクス事業部さんが販売とサポートを担当することで、お互いに不足している部分を補っていけると考えました」(吉田氏)
コムテックスは、Matrox製品の取り扱い開始とともに映像システム事業部を立ち上げ、事業部長に吉田氏が就任した。こうした日本市場における販売態勢の発表から2カ月。ユーザーからは、量販店での販売も行って欲しいという要望も出てきているそうだ。ミューズテクス事業部では、ビデオ制作関連のソフトウェアの取り扱いをしている大手量販店での販売も視野に、販売代理店の募集も開始したという。
ポータブルディバイスとして安定性を重視して開発
従来製品のMXOのコンパクトさは一定の評価を得たが、「なぜキャプチャーにも対応しなかったのか」というユーザーの要望が多く寄せられたのだという。
「Macintosh環境において、いくつかのメーカーがビデオキャプチャー製品を出していますが、Matroxでは、こうしたキャプチャーの需要がどれほどあるかについて重点的にマーケティングリサーチを行ってきました。そのなかでMXOは、サイズ的な魅力と、AC電源を外付けにしていたことでバッテリー駆動を工夫できることが受け入れられていると分かってきました。このモバイルエディティングが、実際の市場の中で非常に大きな位置を占めていたことが分かったわけです」(吉田氏)
そこでMatroxは、キャプチャーできるポータブルディバイスを目指してMXO2の開発を開始。従来のMXOと同様に、AC電源を別にしてバッテリー駆動をサポートしたほか、15インチMacBook Proと同面積の筐体を採用した。映画市場向けには、ビジュアルコントロールの出力をキャプチャーし、ラフカット編集をすることにも対応している。また撮影現場でも利用できるように、静音性にも配慮した。
ところで、MacBook Proをフル稼働させると、CPU、メモリー、ハードディスク周辺がかなり熱くなる。MXO2の上に載せて使用することで熱がこもってしまうのではないかと不安になるかもしれない。しかし、そんな使用方法であってもトラブルを出さないことを第一に考えて開発したのだという。
「ミューズテクス事業部では、エアコンのある室内で製品サンプルを400時間以上連続運転させていますが、まったく問題なく動作しています。前面と後面にイン/アウトの端子を配置し、通気も効率的にできますので、熱によるオーバーヒートについてはかなり防止できています。今回、17インチと15インチのMacBook Proを載せた状態で3日間連続運用のテストもしてみましたが、問題ありませんでした。MXO2の筐体がアルミニウム製なので、MacBook Proのヒートシンク代わりにもなっているようです。快適に使用できました」(吉田氏)
側面の3面を使用してケーブルを接続するMXO2の筐体スタイルは、入力・出力・PC/Macintosh接続と電源と、各面に役割をもたせることで、接続するケーブルを間違わないようにする配慮でもあるそうだ。入力側から反対側の出力側へ信号が流れるようにしたことで、プリント基板上でも設計デザインがしやすく、発熱やノイズの低減が可能になったという。さらに、端子が1カ所に集中しなくなったことで、接続不良や通気不良も回避できる構造となった。
ストレージ製品商社としてオリジナル製品も開発
MiniSASインタフェースを採用したEditProRAIDシリーズ8ベイタワータイプ
コムテックスは、ストレージ製品の商社として、ノンリニア編集に組み合わせられるストレージ製品の開発も進めている。
「複数のメーカーと取り引きしていますが、Matrox製品と組み合わせて販売する場合、価格的な問題が出やすくなります。時代の流れで、低価格で高速なハードディスクが出てきていますが、当社は高級な価格帯で高信頼性のあるものをメインにやってきたのですが、ビデオ製品に関しては価格的なバランスを考慮しなければなりませんので、新たに別のメーカーとも代理店契約を結び、検討・導入しやすい価格帯のオリジナル製品の提供も開始しました」(吉田氏)
コムテックスが、Matrox製品に組み合わせて提供できるように発売したストレージ製品は、MiniSASインタフェースを採用したEditProRAIDシリーズだ。4ベイまたは8ベイのタワー型と、4ベイまたは8ベイのラックマウント型の4種類の構成で、Areca製PCI-RAIDカードを同梱する。
Windows Server/Windows XP/Windows Vista/Mac OS X/Linuxの複数OSに対応しているので、利用するプラットホームを選ばないことも特徴だ。ストレージにはシーゲート製BarracudaES.2を使用し、ハードウェアRAIDレベル6に対応している。ホットスワップ、オートリビルド、スペアドライブ設定も可能だ。
コムテックス 映像システム事業部
セールスマネージャー 石崎 健一郎 氏
コムテックス映像システム事業部でセールスマネージャーを務める石崎 健一郎 氏は、新製品について、つぎのように解説してくれた。
「MiniSASインタフェースによるRAIDディスクを採用した理由は、転送速度面に配慮したためです。たしかに、低価格のハードウェアREID製品には、本体内蔵型のRAIDディスクでSATAを採用したものや、外部ドライブ型でeSATAを採用したもの、FireWireやUSB2を採用したものなどもありますが、いずれも非圧縮映像を取り扱うことができません。圧縮フォーマットであっても、CPUのパフォーマンスなどに依存してしまいます。どんな使用方法であってもユーザーが満足できるスペックで、非圧縮映像を取り扱うために複数台を運用するための信頼性と高速な大容量ドライブという条件を考えると、外部ドライブでMiniSASインタフェースを採用するのがいいと判断しました」
マシーンルームをもたずに制作を行う可能性のある日本の制作環境に配慮して、オフィス環境でも利用できるように、大型のファンを使って、低回転で前面吸気後方排気を行うことで、静穏性を高めているという。EditProRAIDシリーズの価格は、オープン価格。オービット ミューズテクス事業部のオンラインストアでは、8ベイの8Tバイトタワーモデルが¥79万8000(税込)となっている。
2008 NAB Showでの発表から5カ月、そして日本での新たな販売・サポート態勢の発表からも2カ月が経過している。すでにハードウェアは完成していたが、ドライバーの検証とブラッシュアップに時間を費やし、ようやくMatrox MXO2が発売となる。日本での価格は¥22万8900(税込)だ。
コムテックスによると、初期ロットの入荷台数は20台で、すでに完売しているという。しかし、ドライバー熟成に時間を費やしたものの、ハードウェアの生産は順調に続けてきたことから、時間もかからずに順調に入荷する見込みのようだ。






