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マックレイが、RED制作ワークフロー発表会を開催

マックレイは、7月23日、東京都港区のコクヨホールにおいて、RED制作ワークフローを開催した。本発表会は、マックレイの考える、RED ONEを入り口とする新しい制作ワークフローの提案、紹介を目的としたもので、同ワークフローを用いて制作した作品の上映のほか、制作の過程を実演を交えて紹介。150名が定員の会場はほぼ満席の大盛況となった。
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150名が定員の会場はほぼ満席の大盛況となった 会場にはRED ONEの実機を展示。発表会終了後、RED ONEの周りは多くの来場者で賑わった

マックレイでは、今年4月にRED ONEを導入後、カメラテストを重ねることで、撮影そのものだけでなく、撮った後のワークフローが重要であると実感。そこで、現状どんなワークフローが日本での制作スタイルに適しているのかを試行錯誤したが、いずれのパターンでも、さまざまな利点と問題点があり、なかなか良いワークフローが見つからなかったという。

マックレイとしては、従来のワークフローに当てはめるのではなく、まったく新しいワークフローを考えなければRED ONEの特性を活かしきれないと考え、RED ONEで撮影した広大な生データの鮮度を維持し、とりこぼしなくポストプロへつなげる、新しいRED ONE用のワークフローを考案。今回のワークフロー発表会に至ったとのことだ。

RED ONE

ワークフローの説明に入る前に、まず、RED ONEについての解説が行われた。

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ワークフローの説明に入る前に、まず、RED ONEというカメラについての解説が行われた

米RED DigitalCinemaより昨年から出荷が開始されたRED ONEは、アメリカを中心に、現状全世界で約2000台の出荷がなされている。国内では、数台~10台弱の台数が導入され、活用されている。

RED ONEの特徴としては、大きく以下の5つが挙げられるという。

◆4kサイズでの収録

RED ONEでは、SDサイズ(720×540)の6倍のサイズであるHD(1920×1080)のさらに4倍のサイズ(4096×2304)での撮影が可能。ハリウッドでは、デジタルシネマの標準規格としてもこの4kというサイズが採用されている。

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RED ONEでは、デジタルシネマの標準規格4kで撮影することができる
◆スーパー35mmのフィルムと同サイズのCMOSセンサー

スーパー35mmのフィルムと同サイズのCMOSセンサーが搭載され、レンズマウントにPLマウントが採用されているため、フィルム撮影時に使用するレンズの大半をそのまま使用することができる。そのため、フィルム撮影時と同等の被写界深度、画角をつくることができ、これまでのフィルムで培ってきたノウハウを活かした映像づくりが可能となる。

◆バリアブルフレームレート撮影

RED ONEでは、CMOSセンサーの特徴を活かし、秒1コマ~120コマまでのバリアブルフレームレート撮影が可能。4kというサイズはRED ONEで撮影可能なもっとも大きいサイズであるが、それだけにデータ量が重い。そのため、4k時は秒1コマ~30コマまでの可変となってしまう。
しかし、一回り小さい3kサイズにすると、秒1コマ~60コマまでの可変ができるようになり、さらに2kにすると、秒1コマ~120コマまでの調整が可能になる。2kでもHDサイズよりも一回りほど大きいサイズになるので、従来のHDカメラのクォリティと遜色のない解像度をもっている。

このように、RED ONEでは、撮影時の画像のサイズを4kから3k、3kから2kとへと小さくすることで、データを軽くし、それにより、従来のビデオでは出し得なかった秒120コマというバリアブルフレームレートを実現している。

◆RED CODE RAWフォーマット

RED ONEでは、センサーが受けた画像を一旦RAWデータとして補完、独自のRED CODE RAWフォーマットで記録する。それにより、RAWデータならではのフィルム同等の広いダイナミックレンジを活かした撮影が可能である。

しかし、4kのRAWデータはとてつもなく大きく、重いデータである。もし4kのRAWデータを非圧縮で撮影したとすると、わずか1分の映像でも約50Gバイトという、非常に重いデータ量となってしまう。もし非圧縮で一作品撮ったとすれば、冷蔵庫1台分ほどの巨大なサーバーが必要になってしまう。

しかし、それをRED CODE RAWで収録すると、8GバイトのCFカードに約4分半、320Gバイトのハードディスクドライブで4kで3時間近い画像を収録することが可能となる。

◆デジタルマガジンにデータファイルとして記録

RED ONEは、ハードディスクドライブ、CFカードといった、デジタルマガジンにデータファイルとして記録する。従来のテープ方式とは違い、撮影後に行われるデジタル現像(詳細は後述)、編集、合成といったポストプロ作業との素材のやりとりをデータで行う。それにより、作業効率が上がるだけでなく、テープ圧縮による画質の劣化がなくなり、合成など、編集時の細かい調整のクォリティが上がり、最終的には、テープレスの作業環境が実現できる。

RED ONEを用いた制作ワークフロー

さまざまな新しい機能を備えたRED ONEを使用し、マックレイでは約3分の作品を制作し、会場にて上映された。この作品は、後述するワークフローに即して制作したもので、検証的な映像を撮ったという形でなく、実践にほぼ近い状態での制作を行ったという。また、今回のワークフローを進めるにあたって、マックレイでは、一ユーザーとして取り組んでいるため、今回の制作にあたって実際に感じた良かった点だけでなく、問題点も踏まえての解説となった。

◆デジタル現像

RED ONEで収録される、RED CODE RAWデータは、従来のネガフィルムのような特性をもつデジタルデータで、通常のビデオ信号よりも多くの情報量をもっているログデータである。そのため、そのままでは、明るさや色を正確に見ることができないうえ、専用の機材がないとプレビューすることができない。それをモニター上で正しく見えるように調整し、その後の編集で扱えるフォーマットに加工する作業が必要になるのだが、マックレイでは、この作業を「デジタル現像」と名付け、RED ONEのワークフローを構築するうえでの重要な工程だと考えているとした。これは、従来のビデオ撮影では存在しなかった工程であり、昨今のデジタルシネマの登場により生まれた作業といえる。

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RED CODE RAWデータをモニター上で正しく見えるように調整し、その後の編集で扱えるフォーマットに加工する作業をマックレイでは「デジタル現像」としている
◆ワークフロー解説

今回制作された作品は、数カットのみ2kで行い、大半の撮影は4kで行われた。その4kと2kの素材をデジタル現像時にHDへコンバート。以降の作業はHDサイズで行われ、会場ではDLPを用いて、HDの映像を上映。上映後、その作品の制作ワークフローについて、順を追って解説がなされた。

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4kと2kの素材をデジタル現像時にHDへコンバートした映像が上映された

まず、RED ONEで撮影された映像素材は、ハードディスクドライブ、もしくはCFカードにRED CODE RAWデータとして記録される。その撮影した素材は、現場ではカメラの簡易プレイバック、もしくはノートPCで確認可能。撮影後は、マックレイの天王洲スタジオへ戻り、デジタル現像処理に入る。今回、REDの公式サイトからもダウンロード可能な「RED CINE」、「RED ALERT」、そして、ASSIMILATEの「SCRATCH」の、3つのソフトウェアを使用して、デジタル現像を行ったという。

撮影終了後は、RED ONEからRED CODE RAWデータが記録されたハードディスクドライブをはずし、ポストプロへ。ハードディスクドライブをASSIMILATE SCRATCHと直接繋ぎ、作業を行う。会場では、スクリーンにSCRATCHのインターフェース画面が映し出され、実際にSCRATCHでの実演を交えながら、SCRATCHを使用した場合の流れが解説された。

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会場では、スクリーンにSCRATCHのインターフェース画面が映し出され、実際にSCRATCHでの実演を交えながら、SCRATCHを使用した場合の流れが解説された

SCRATCHのロードレイヤーという機能を用いて、ハードディスクドライブに入っているRED CODE RAWデータをまとめて参照する。この段階で、RED CODE RAWデータを展開できている状態なので、この時点で1つカットを選択すれば、映像をリアルタイムで走らせることが可能となる。今回はHDでの完パケなので、HDサイズにこの段階で加工する。

撮ってきた状態のままでは、RAWデータを単純に展開しているだけなので(SCRATCH上で)、現場で見ていたモニターでの色味とは若干異なる。そこで、ここに、現場で見ていたものと同じLUT(ルックアップテーブル)を当てはめる。これで、取り込んだままの状態よりも明るくなる。これに対して、色補正(全体の色味、コントラストの調整)を行う。

なお、このときの調整に関して、SCRATCHではマスクを切るなどの作業はできないので、ここでは大まかな調整だけにとどめ、細かい設定は、da vinciなどのカラーグレーディング機器で行うことを勧めたいとのことである。

画角、色などが決定したら、レンダリングを行い、DPXの連番ファイルとして出力するという形となり、レンダリングが終了すると、基本的にはデジタル現像は終了ととなる。

また、SCRATCH内でのトリミングなどの作業は、カット数が少ない場合は、4kサイズのままデータで出力し、Inferno内でズームなどのトリミング作業を行うほうが、より細かい作業ができるので、そちらを勧めたいとのことである。

デジタル現像、レンダリングが終了したDPXデータは、マックレイではストレージサーバーのSledgehammerに貯められる。Sledgehammerに記録されたDPXデータは、マックレイ天王洲スタジオにあるInfernoや、カラーグレーディングルームから直接データとしてアクセスすることが可能となっている。

ストレージサーバーヘ貯められたDPXデータをもとに、カラーグレーディングルームで細かいカラーコレクションを行う。カラーコレクションが終わると、再びそのデータをストレージサーバーへ戻す。同様にInfernoよりストレージサーバーヘアクセスし、カラーコレクションが終了したデータを引き出し、編集を行っていく。

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今回マックレイが提案する、撮影以降の作業の流れ

合成作業に関しては、グリーンバックで撮影された人物の映像と、背景の映像をInferno内で合成している。撮影に関しては、背景、人物ともに4kで行い、デジタル現像時にHDにし、合成を行っている。テープ圧縮がないことにより、とてもクォリティの高い合成ができ、グリーンの抜けに関しても非常に良く、また、今回は、4kで撮影し、編集はHDサイズで行ったが、実際に編集にあたったエディターは、従来のHDカメラで撮影された素材よりも、細かいディテールが残っているような印象を受けたとのことであった。

以上が今回マックレイが行ったワークフローである。このような流れで制作することで、フィルムレス、さらにはテープレスの制作環境が実現する。従来、フィルムで撮影していると、素材が膨大になっていたが、テープレスでの作業は、ハードディスク1台に収まってしまう。よって、素材の管理が容易になるばかりではなく、将来的にはエコにも繋がっていくのではないかと考えているという。

ただし、このワークフローでもまだまだ懸案事項があるという。それは、デジタル現像時の時間がかなりかかってしまうという点。画像の調整内容によっても変わるが、今回行った内容を見る限りでは、素材の10~20倍近くの時間をレンダリング要したという。今後、ハードウェアの進化に伴い、この時間は短縮されていくとは思うが、RED ONEで撮影する際は、デジタル現像をするための時間を制作スケジュールに必ず入れておいていただきたいとのことであった。

RED ONEを入り口としたワークフローは、この、SCRATCHを軸としたものだけではなく、RED CINE、RED ALERTを使ってワークフローを組むことも可能であり、これから、近い将来にはRED CODE RAWデータをダイレクトに読めるツールがほかにもでてくるだろうと語られ、また、マックレイとしても、今回のワークフローで制作を進めていくためには、まだまだ問題があり、現状のこのワークフローはベストなものではないと思っているとしている。

最後に、マックレイでは、これから先、ユーザーが少しでもRED ONEを気軽に使ってもらえるように、業界の動向にあわせたさまざまな対応を検討しており、その都度、その作品に最適なワークフローを提案していきたいと締めくくった。

問い合わせ先

マックレイURL:http://www.mcray.co.jp/index.html

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