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ARRI DIワークショップ TOKYO開催

5月21日、フジフイルム本社1階ホールにて、デジタル・インターミディエイト(以下、DI)の利点などを紹介するワークショップ「ARRI DIワークショップ TOKYO」(主催:ナックイメージイメージテクノロジー)が開催された。いまや映像制作の前提ともいわれる、DIへの関心度は高く、定員数150名の本ワークショップはほぼ満席という大盛況となった。
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会場はほぼ満席という大盛況となった。来場者のDIへ対する関心の高さが窺える

本ワークショップは、DIへの入門編として、フィルム出力を主としたDIについての基本的な事項が説明された。講師として、ARRIデジタル部門のS.マイヤー女史と、映画『ロード・オブ・ザ・リング』、『パフューム』などでカラリストを勤めたフロリアン・マーティン氏を迎え、第1部〜第3部に分かれた構成で、DIについての解説がなされた。今回のワークショップは前述のとおり、入門編と銘打って行われるものであるので、グラフや数式などを用いない形で進められた。

DIとは

第1部では、S.マイヤー女史が登壇し、ます、DIプロセスとはなにかという基本的な事項から解説され、その後、DIプロセスの利点などが解説された。

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第1部では、ARRIデジタル部門のS.マイヤー女史が登壇し、DIプロセスとはなにかという基本的な事項や、DIがもたらす利点などが解説された

DIとは、撮影以降の工程で特殊効果をかける部分だけにデジタル処理を施していた従来の工程を、全編、エフェクトをかけない部分も含めてデジタル化するというもの。

撮影以降の工程をデジタル化することによって、さまざまな利点を得ることができるとS.マイヤー女史は語る。たとえば、DIで処理されたマスターは、複数の出力フォーマットに変換可能なので、フィルム出力だけではなく、DCI規格(デジタルシネマ用の出力、DCP:デジタルシネマパッケージ)として出力することも、同じマスターから可能になるほか、

  • デジタル処理特有のエフェクトの効果を直接的に反映させることができる
  • 撮影フォーマットが異なっていても(16mm/35mm/デジタルHD)、それを1つにまとめることが可能
  • 現像所によるコピーの回数を減らすことができるので、コピーによる劣化が少なくなり、フィルム映写の画質が向上する

などが挙げられた。

また、DIの工程中に高画質を維持するためには、

  • デジタル変換の際には。ネガの解像度、ダイナミックレンジをそのまま保つことが必要
  • 色については当然全工程で一貫して維持しなければならない
  • デジタル情報に関しては、フィルムに戻すときも、一旦デジタル化された情報は  まったく失われずに維持されなければならない

この3つが条件となるが、ARRIのデジタル機器は上記の3点を維持できるようにさまざまな配慮がなされているという。たとえば、フィルムのスキャニングでは、オーバーサンプリングを行う。つまり、4kの画をつくるには6kスキャンから、2kの画をつくるためには3kのスキャンからダウンサンプリングして出力するのである。また、ネガの情報を失わないようにするため、「ダブルエクスポージャー」という、1コマを2回露光する(1回目はネガの暗い部分、2回目は明るい部分を露光する)という方法を用いていると解説。この2つを合成することで真の16ビットリニアのネガが完成し、この方法によってコントラストを維持していると語った。

アーカイブ(DIで制作したデジタル作品のマスターを保存しておく方法)

S.マイヤー女史は、DIによって制作されたデジタル作品のマスターを保存しておく方法しては、フィルムで残すことが有効であると語った。データストレージ(HDDなど)にデジタルデータを保存しておくという方法もあるが、フィルムによって保存することを推奨したいとのことであった。なぜフィルムにしておく方法がいいのかというと、単純に寿命の問題である。たとえばデジタルストレージだと寿命は一般的に10年であるといわれているが、カラーフィルムだと100年、また、白黒フィルムだと500年はもつとされており、この寿命の差を考えると、フィルムによるマスターのアーカイブは有利であるとした。また、フィルムの場合は、スキャンすることによって、デジタル化が可能であるという点も利点の1つだと述べた。

DIプロセスの利点:カラリストの観点から

第2部では、カラリストのフロリアン・マーティン氏による、カラリストから見たDIプロセスの利点についての解説が行われた。

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第2部では、カラリストのフロリアン・マーティン氏による、カラリストから見たDIプロセスの利点についての解説が行われた

フロリアン・マーティン氏はDIプロセスの利点として、

  • 映像の加工を広範囲に行える
  • マスターを複数作成しても色が統一されている
  • 修正を細かくできる
  • 異なったフォーマットを一緒にすることができる
  • 正しく、効率的にDIを利用すれば、全体的にコストの効率も良い。ポスプロ作業の コストの削減も可能となる

また、編集上での利点としては、

  • 編集機能の豊富さ
  • 場面転換などが容易
  • ぎりぎりまで編集の変更が可能

などの利点を挙げ、また、フロリアン・マーティン氏が手がけたカラーグレーディングを実際に映写しながら、その色の違い、効果の違いを解説。また、DIプロセスによって自在になる、照明のあたり具合の変更、人物の強調、フィルター効果などの解説が行われたほか、部分的に色を変えたい場合、フリーハンドでマスクを書いて、その部分の色を自在に変えることができる、「フリーハンドシェイプ」などのDIで活用できるクリエイティブツールの紹介を行った。

DIプロセスの技術的詳細

第3部では、再びS・マイヤー女史が登壇し、人間が色を見るとはどういうことなのかが解説され、それを踏まえて、カラーマネージメント処理を行うためにARRIが開発したシステム「ARRI CUBE」の解説などが行われた。

カラーグレーディングはデジタルで行われ、監督や撮影監督は標準的なモニターやデジタル映写で色の判断をするので、映画館では色が自分の意図と違って見えてしまう(モニターとフィルムの不一致)ことが多くあるという。モニターの色は加色法によって構成されるのに対して、フィルムの色は乗算的(白色光源中にゼラチン層を置く)方法によって色が構成される。2種の異なった色域(色空間)が存在するのであり、結果として同じ色の値が同じ色の感覚を引き起こすとは限らないばかりでなく、片方の色域にしか存在しない色もありうるのである。

ARRI CUBEでは、この問題に対して2つの色域を一致させることでこの問題を解決することが可能であるという。

ARRI CUBEでは大きく分けてカラーグレーディングシステム用のプレビューLUT(プレビュー・ルック・アップ・テーブル)とARRIレーザー(半導体レーザーを使用した映画フィルムレコーダー)用のビデオLUTというワークフローを提供するとし、その技術内容を解説した。

■プレビューLUT

DIでは、デジタルのモニター、またはDLPプロジェクター上で画を出して色を決めるというグレーディングが行われる(最終的にそれをフィルムで出力することを前提として)しかし、色空間がフィルムとモニターでは違っているという現実があるので、フィルム上の色を正しくプレビューするためには、モニターに対してカラーマネージメントを行う必要がある。ARRIが提供するプレビューLUTを、モニター、プロジェクター、カラーグレーディングのシステムに入れることによってカラーマネージメントを成立させ、ディスプレーの画とフィルムの画を一致させることができる。これは当然ARRI単独ではできないので、ノンリニアシステムを製作しているメーカーや、モニターを製作しているメーカーとパートナー関係を結び、それぞれがつくっているカラーグレーディングシステムやモニターに対してARRIのプレビューLUTを供給するという形をとっている。

■ビデオLUT

リニア画像ワークフローで、オリジナル画像データがデジタルカメラやテレシネからのものである場合、ポスプロはリニアデータで行われる。画像はなにも変更しないまま、カラーグレーディングのため、モニターやデジタルプロジェクターに表示される。この場合、ARRIレーザーの画像処理エンジン中のCMSノードによって変換され、フィルム映写における色は、モニターの色と一致する。カラーマネージメントはフィルム録画中に画像に適用され、ARRIレーザーのマルチスレッド・プログラミングによって録画所要時間に影響することなく録画される。このビデオLUTはARRIレーザーのオプションとして販売されている。

なお、今回のワークショップに引き続き、第2回目も予定されている(時期は未定)。また、6月4〜6日に秋葉原で開催される「ナックフェア 2008 TOKYO」では、ARRIデジタルシネマカメラARRIFLEX D-21なども展示されるとのことである。

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