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開局55周年を迎える日本テレビが「デジテク2008」を開催

去る3月12~14日の3日間、東京・汐留の日本テレビタワー2階  日テレホールA,B,Cホワイエにおいて、技術展示会「デジテク2008」が開催された。

同展示会は、日本テレビ放送網(以下、日本テレビ)が現在取り組んでいる技術研究テーマの数々をわかりやすく展示、紹介するもので、今年度のテーマは「デジタル放送と次世代システムの展望」。 

会場は、「躍進する地上デジタル放送」、「放送を支える技術」、「番組制作を支える技術」、「次世代の放送局システム」など、全7コーナーにわかれており、次世代の放送へ向けた最新技術開発、日本テレビグループ各社での取り組み、メーカーとの共同開発の放送機器など、放送を送出するための技術や、番組制作を支える技術、また、将来のメディア像を予見させる新たな技術など、放送に関連する技術を幅広く紹介。計47項目に及ぶ内容が展示された。

放送を支える技術~放送エリア拡大に向けた取り組み

「放送を支える技術」コーナーでは、放送エリア拡大に向けた取り組みとして、地上デジタルテレビ用の小規模中継用送信装置や中継局用再変調装置(CNリセット)、地上デジタル放送用ギャップフィラー、チャンネルイレーサーなどが展示された。

デジタルテレビ中継送信機(日立国際電気)

 地上デジタルテレビ用の小規模中継送信装置。システムの仕様は地上デジタル放送用送信設備共用仕様書(オレンジブック)に準拠。現用/予備の2系統の構成により、安定したシステム運用が可能となる。また、周波数シンセサイザーの採用により、地上デジタルテレビの全チャンネルに対応しているほか、各ユニットの動作状態をローカル/リモート監視/制御可能。

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地上デジタルテレビ用の小規模中継送信装置。現用/予備の2系統の構成により、安定したシステム運用が可能となる

中継局用再変調装置(東芝)

 放送中継における、多段中継回線や長距離・海上伝搬回線、同一チャンネル干渉が厳しい回線などの劣悪な受信環境で放送ネットワークを構築するために開発された。OFDM信号を復調し誤り訂正を行い、ISDB-T放送TSを出力する。出力された放送TSをOFDM変調器で再変調を行うことにより、C/N劣化をリセットし、所要等価C/Nまで改善して放送ネットワークの構築を可能にする。

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中継局用再変調装置。OFDM信号を復調し誤り訂正を行い、ISDB-T放送TSを出力する

読むワンセグ(シャープ)

 字幕を読ませる新しい工夫と字幕を利用した新サービスの提案として展示。従来のワンセグで表示される字幕は、2~3行ですぐに消えてしまったり見逃してしまうことも多いが、本展示では字幕の表示行数を大幅に増やし、また、履歴の表示も可能で、ニュースなどの字幕を遡って読むこともできる。常に見逃さないいように画面を凝視する必要なく番組を楽しむことができる。

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読むワンセグ。字幕を読ませる新しい工夫と字幕を利用した新サービスの提案として展示。

字幕チェッカー(中京テレビ)

字幕放送が正しく送出されたかどうかをリアルタイムで監視する装置。アナログ、12セグ、ワンセグの各字幕放送をPCで比較し、異常がないかどうかを自動検出する。ブースでは、実際に字幕放送がとぎれた場合のデモンストレーションが行われた。

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字幕チェッカー。字幕放送が正しく送出されたかどうかをリアルタイムで監視する装置

番組制作を支える技術~進化するデジタルテクノロジー

「番組制作を支える技術」コーナーでは、動画配信コンテンツ、超低遅延MPEG2コーデック、プリセット音声卓制御装置、H.264・MPEG2簡易モニターなどが出展されたほか、2月に行われた東京マラソン2008で実際に使用された映像中継システムなど、番組の制作の過程で利用される機器も展示された。

「AR-CAST」による動画配信コンテンツ制作(中京テレビ)

 中京テレビでは、「Augmented Reality(拡張現実感)」技術を取り入れたバーチャルスタジオシステムを開発。ノートPC上でも動作するアプリケーション「AR-CAST」を使用して低コストにネット用配信コンテンツの制作を行うことが可能である。

AR-CASTは、一般に公開されているARToolKitをベースに、放送用バーチャルスタジオ「3D-NIXUS」を動作させることにより、マーカーやWebカメラを使って映像をリアルタイムに作り出すことが可能となる。合成されるCGは、WiiリモコンやLemur CSVファイルなど外部からのリアルタイム制御も可能である。放送の現場では、実際にビーチバレー中継番組のルール解説や、プロゴルフ中継のグリーン攻略法解説などでの利用実績がある。

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「AR-CAST」による動画配信コンテンツ制作。ノートPC上でも動作するアプリケーション「AR-CAST」を使用して低コストにネット用配信コンテンツの制作を行うことが可能)

簡易画像伝送装置 ロケーションポーター(ソニー)

2月17日に開催された東京マラソン2008の中継で使用されたソニーの高画質リアルタイム映像伝送システム「ロケーションポーター」を展示。同システムは、ビデオカメラを持ったカメラマンが送信用のタブレットPCを背負い、映像をインターネット経由でテレビ局内の映像受信用デスクトップPCに送信するというものである。東京マラソン2008では、このシステムをカメラマンが背負い、選手と併走して撮影し、映像を伝送した。

ビデオカメラで撮影された映像は、タブレットPCでエンコードされ、2台のFOMAを経由して送信される。デモ環境では、352×240ピクセルの動画が15fps、500kbps程度で送信されていた。

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簡易画像伝送装置 ロケーションポーター。写真は、東京マラソン2008で選手と併走したカメラマンの装備

超低遅延エンコーダー/デコーダー(アイベックステクノロジー)

アイベックステクノロジーとの共同開発された超低遅延コーデック。これまではHDの信号を決められた帯域で送ろうとするとどうしても圧縮する必要があり、圧縮することによってディレーが生じてしまう。一般的なMPEG2のエンコーダーは、0.2秒程度のディレーが生じていたが、今回展示されたエンコーダー/デコーダーは10ms(10ミリセック)でのエンコード/デコードが可能になっている。

スポーツ中継などで、ワイヤレスカメラとして電波を使って他の有線のカメラと混合で撮影する際、ディレーが生じてしまうと、例えばサッカーやゴルフのボールを蹴る・打つときの音とリンクさせることができないために、映像に合わせた音を別に作る必要があったが、そのようなこともなくなるだろうとのことであった。

ほかにも、本製品はFPUと一緒に使用することに重きをおいて作成されており、エンコード側は、FPUの伝送レートの信号を受け取ってエンコードのビットレートを可変できる機能を、デコード側はシステムの同期ができるようにゲンロックBBを搭載している。展示されていた製品はモックアップだが、5月には製品化できるだろうとのことである。

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超低遅延エンコーダー/デコーダー。10msでのエンコード/デコードが可能

プリセット音声卓制御装置(トモカ電気)

MIDI信号を利用し、デジタルミクサーのシーン切り替えやフェーダー制御をワンタッチで可能にするMIDI KEYパッド。多様化するデジタルミクサーのシーンチェンジなどを簡単に、安全に行いたいという現場のニーズを取り入れ、小型ながら20通りのMIDI信号の発生を可能とし、また、忠実な動作を実現している。

すでにゴルフの中継のマイクの切り替えなどで実用されているが、これからの応用としては、メモリーなどの設定を変更し、照明の分野で使用することも考えられるのではないかとのことである。

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プリセット音声卓制御装置。デジタルミクサーのシーン切り替えやフェーダー制御をワンタッチで可能にするMIDI KEYパッド)

次世代の放送局システム~映像ファイル化による変革

「次世代の放送局システム」コーナーでは、ファイルベースの放送システム構想を紹介。民生用のビデオカメラが、テープからDVD、HDD、フラッシュメモリーへ移行するなか、放送局でも同様の変革が行われ始めている。日本テレビでも、今後3年ほどで、局の制作システムはテープレス化していくとしており、MXF対応機器である松下電器P2カムコーダーやソニーXDCAMカムコーダーなどが展示された。また、新たな提案として、MXFファイルコンバーターやテロップメタデータ収集装置なども出展された。

MXFファイルコンバーター(朋栄)

 朋栄が開発するMXF to MXF コンバーター。MXFファイルと一口に言っても、実際の中の映像の記録方式は各社バラバラである。例えば、松下電器のP2はAVC-INTRA、もしくはDVC-PROという1フレーム単位の圧縮方式であるのに対し、ソニーのXDCAMはMPEG2を採用しており、全く互換性がない。そうなると、PC上でMXFという形式で再生することはできても、P2で撮ったMXFファイルはXDCAMでは再生できない、同様に、XDCAMで撮ったものはP2では再生できないという問題が起こってしまい、この問題は放送局が新たにシステムを組む際の足枷になってる。

今回展示されたMXFファイルコンバーターはそのような各社圧縮方式の違うMXFファイルの相互変換を可能としている(現段階では松下、ソニーのMXF相互変換のみ)。また、変換するだけではなくMXFデータにロゴを追加したり、ビデオ、オーディオレベルの調整などの付加機能も搭載されており、今後は、ノイズキャンセルなどの機能も追加していくとのことである。

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MXFファイルコンバーター。各社圧縮方式の違うMXFファイルの相互変換が可能)

テロップメタデータ収集装置(朋栄)

現在、放送で使用した過去の映像素材を別の番組で二次利用する機会が増えており、それに伴い、映像素材検索に用いるメタデータの重要性も大きくなっている。しかし、一方で「映像素材のメタデータをどのように収集するのか?」という問題も起きている。この問題を解決するために、電子テロップに着目した。電子テロップには放映日、番組名など、メタデータになりうる有効な情報が多数含まれており、これらの情報を収集して、変換処理を行い、自動的にメタデータを収集する。

生成したメタデータは、ExcelやXML形式で出力することができ、映像素材のライブラリー保存時に有効活用できる。日本テレビでは、今後もさまざまなアプローチでメタデータの収集と生成について考えていくとのこと。

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テロップメタデータ収集装置。電子テロップのメタデータになりうる有効な情報を収集、変換処理を行うシステム)

デジテク2008では、放送技術・番組制作を支える技術は日々進化し続けており、研究されていることを実感することができた。また、放送業界をより良くしようという熱意も伝わってきた。「放送」というメディアとしての今後を考え、多くの新しいことにチャレンジしていく日本テレビの取り組みには多大な関心が寄せられている。それは多くの来場者が本展示会に足を運んでいたことからも窺うことができるだろう。同社が今後どのような新しい展開を見せるのか、これからも注目していきたい。

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